前回のいもち病の抵抗性を色素の観点から見てみるの記事の続きで、
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イネのいもち病に対する抵抗性の一つでサクラチネンというフラボノイドがある。
このサクラチネンは、
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ナリンゲニンというフラバノンのA環(左側の環)の水酸基(-OH)の一つがメチル化されたものだ。
メチル化というのは(主に)OHの箇所のHが外れ、CH3に置き換わる反応で、あくまで個人的なイメージだけれども、反応性の高い箇所に蓋をするというイメージがある。
いもち病の抵抗性に関して、メチル化自体の話は重要ではないかもしれないけれども、探求する上で少しでも関与しそうな内容には触れておくという鉄則があるので、メチル化について整理してみる。
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メチル化はS-アデノシルメチオニン(SAMと略す)をメチル基の供与源として利用するメチル基転移酵素の作用によって行われる。
※上のSAMの構造で左側にあるS+の下側にメチル基(-CH3)が省略されている。
S-アデノシルメチオニンはヤン回路において
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含硫黄アミノ酸であるメチオニンに、
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高校生物で習うアデノシン三リン酸(ATP)から左側のリン酸が三個外れたアデノシンが付与することで生成される。
SAMは生体内で貴重な硫黄を含む化合物であるため、再利用の仕組みが洗練されている。
※講談社 新しい植物ホルモンの科学 第3版の77ページを参考
もしSAMの生合成がイネのいもち病の抵抗性において最重要な位置を占めてるのであれば、メチオニンやアデノシン三リン酸の合成まで深堀する必要があるけれども、今はSAM以上に大事なことがありそうなので、今回はここまでにしておく。
補足
植物ホルモンのエチレンはSAMを基にして合成される。