葉の色が濃いイネはいもち病に罹りやすいの記事で窒素系の肥料の過多で葉の色が濃くなった株はいもち病に罹りやすいという内容を見ていきたい。

※上の写真は葉の色が極端に濃いわけではないけれども、目視で比較的葉の色が濃いものを撮影した


葉の色が濃いというのが何なのか?

単純に葉緑素が多いからなのか?

それとも葉で光を反射する物質を多く溜め込んでいるのか?

が現時点の知識レベルではわからないので、窒素の吸収の仕組みから見ていくことにする。




イネの初期生育は水に浸っている水田であるため、酸素が少ない還元状態の土壌となる。


Lukáš Mižoch - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

アンモニウム - Wikipedia


還元状態では窒素はアンモニア態窒素(アンモニウムイオン)として存在している。

イネはアンモニア態窒素を吸収するが、アンモニア態窒素は毒性が高い為、根において速やかにアミノ酸へと合成される。


下記の読み物では根で窒素系の肥料を吸収するとどうなるのか?が記載されているので参考にして話を進める。

窒素の転流と利用の分子機構 - 化学と生物 Vol. 38, No. 7, 2000


NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

グルタミン - Wikipedia


地下部でグルタミンを合成して導管を介して地上部に運搬するとのことで、根でどのようにグルタミンが合成されるかを見ていくことにする。


NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

グルタミン酸 - Wikipedia


グルタミンはグルタミン酸を経て合成されるわけだけれども、


Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

α-ケトグルタル酸 - Wikipedia


グルタミン酸は糖を代謝する時のクエン酸回路のうちの一つであるα-ケトグルタル酸にアミノ基(-NH2)が付与される形で生合成される。

このグルタミン酸が2つ反応することで、グルタミン酸 ✕ 2 → グルタミン + α-ケトグルタル酸になる。


Fvasconcellos 23:46, 30 April 2007 (UTC) - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

ピリドキサールリン酸 - Wikipedia


ちなみに有機酸にアミノ基を付与する時に関与するアミノ基転移酵素はピリドキサールリン酸(PLP:ビタミンB6)を補酵素とする。

羊土社 基礎から学ぶ植物代謝生化学の185〜189ページを参考にして記載

アミノ基転移酵素 - Wikipedia

植物にとってビタミンB6とは?



根で合成されたグルタミンが導管を経て、細胞の液胞(図の左側の水色の箇所)に蓄積される。




根の周辺に窒素肥料がたくさんあった場合は、アンモニウムの無毒化の為にたくさんの有機酸を消費する事になるわけで、イネの立場を考えると、周辺にアンモニア態窒素が多い場合は発根量を減らして、有機酸の消費を抑えたいって思うだろうな。

植物ホルモンから再び牛糞堆肥による土作りの価値を問う


今回の内容からだけだと、即効性の窒素肥料が多い場合に葉の色がなぜ濃くなるのか?はわからない。


読み物

山谷知行 イネの窒素飢餓応答戦略 - 化学と生物 Vol. 53, No. 11, 2015