昨日の記事で、
ネギの周年栽培において、土地不足で畑を休ませられるタイミングがないので、
ネギの畝の間に緑肥のマルチムギを育ててみたら、
予想以上の結果となったという報告があった
と記載した。
この記事からなぜマルチムギがこんなにもハマったのか?
という話題になったのでまとめてみることにした。
はじめに緑肥を使用する前の背景だけれども、
もともとは露地で上の写真のようにひび割れが多発していた土壌だった。
このような症状になるには腐植不足と、それに伴う水溶性成分の蓄積(高EC)が考えられる。
ECが高まる要因は一般的には硝酸態窒素の濃度と言われるけれども、
実際は硝酸態窒素に限らず水溶性の肥料、
たとえば硫酸塩等の残留物もECを高める要因となる。
※他にも食塩等の塩化物塩もECを高める
腐植が少ないのでこの手の成分は(露地であっても)排出されず蓄積されやすい。
この情報を踏まえた上で、
植物が健全に育つための条件を記載しておくと、
作物の発根量が目視で多いと感じられるものとする。
今までの記事から発根を抑制する要因となるものをピックアップしてみると、
大きく分けて要因は2つある。
土壌中の活性アルミナ(水酸化アルミニウム)と栄養塩(主に水溶性:ECを高める要因)の濃度である。
活性アルミナに耐性があるスギナがたくさん生えるような土壌であっても、
マルチムギは平然と繁茂することが出来、
マルチムギといえば土壌の養分を貪欲に吸収しつつ、
活性アルミナをキレートして無害にするような植物なので、
作物の発根を抑制してしまうような要因は
すべてマルチムギが解決してしまう。
更にイネ科のような単子葉の緑肥は根が非常に強く、
土壌の土を砕いて柔らかくしつつ腐植を溜め込むものが多いため、
排水性を向上してECが高くなりにくい環境にもしてくれる。
というわけだ。
ここまで挙げた上で、
マルチムギと作物の養分の取り合いで肥培管理が出来ないのではないか?
という質問が挙がるけれども、
基肥において、
NPK主体で考えるといろいろとバランスが崩れるので、
良いものを収穫する方は基肥は発根、NPKは追肥で考えるのが基本なわけで問題ない。
更にいうと、
もともと高ECだったわけで、栽培前から肥培管理が困難な畑であった
という背景もある。
発根量が増えれば金属酵素で重要な各種微量要素を吸収しやすくなるので、
虫による食害や病原菌の侵入に対して防御しやすくなる
というわけだ。
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