前回の話で、ハウスミカンの栽培はハウス内で数年に渡って栽培、除草管理等でハウス内に生える草は年々単一化に向かい、単一化するが故に土壌の微生物の多様性は低下すると考えられている。
そこで緑肥で単一化を避ける話題に触れかかったけれども、その前に、
農文協 エンドファイトの働きと使い方
前回ちらっと出てきたエンドファイトについて触れておきたい。
エンドファイトというのはエンドが内で、ファイトが植物という意味があり、植物と共生する菌の総称のようなものがエンドファイトとなる。
エンドファイトは共生菌ということで、
※図:上記の本の25ページ目より引用
植物体内に入り込んで共生する菌になるわけだけれども、入り込むということは病原性の菌も同様に入り込むわけで、共生菌と病原菌の違いは病原性を持つかどうか?ということで区別されている。
植物とエンドファイトの菌が共生関係を構築すると、植物が土壌中から吸収しにくいアミノ酸の数種やリン酸等を共生菌が吸収し植物に渡す。
一方、植物は共生菌に光合成産物であるショ糖と渡す。
更に菌が植物体内に侵入する際に植物側は免疫が刺激され、しかもその免疫が低下しないということで病原菌に対して強くなる。
※エンドファイトとの共生時に活性化する免疫をISR(Induced Systemic Resistance)を呼ぶ
他に発根(菌根も含む)の促進といった効果もある。
エンドファイトの種類によっては植物を昆虫等から守るための物質を合成するものもあるし、以前他の本で植物体内で窒素固定を行う菌が発見されたということも見たことがある。
上記の内容を読む限り、エンドファイトとの共生は栽培にとって素晴らしいことだらけだけれども、栽培中の土壌ではエンドファイトとの共生が非常に難しいらしい。
難しい理由は、栽培中の土壌にそもそもの話で共生菌がいないことが挙げられ、様々な植物が育っているところでないとエンドファイトがいないことが多いらしい。
※エンドファイトは森の土でよく発見されるとのこと
他に植物が吸収しやすい窒素源である硝酸態窒素等やエンドファイトの菌が利用しやすいショ糖が土壌中にふんだんにあると共生関係を構築しないらしい。
栽培開始前に基肥で水溶性の窒素源を含む堆肥で土作りをしてはいけないことになる。
※今回紹介した本では動物性の堆肥にはエンドファイトは集まりにくいといった記載がある。
補足
エンドファイトには様々な菌がいて、どの菌がどの植物と共生関係を結ぶか?といった共生関係の好みはあるので、どの植物も一律エンドファイトと共生出来るということはない。
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