クエン酸による食味の向上は安易に用いて良いものか?の続きの続き。

前回は食味の向上等で有効だと言われているクエン酸が地域によって効果があったりなかったということを記載した。


今回は、クエン酸による食味の向上は安易に用いて良いものか?の記事の最後で触れた残留物について触れることにしよう。



粘性の高い深成岩である花崗岩由来の真砂土にフォーカスして、クエン酸溶液を散布することを考えてみよう。

花崗岩にはカリ長石という鉱物が多い。


カリ長石は読んで字のごとく、酸等の作用でカリが溶脱する。

この時の反応をざっくりと書くと

KAlSi3O8 + 8H2O → Al(OH)3 + 3H4SiO4 + KOH

2Al(OH)3 + 2H4SiO4 → Al2Si2O5(OH)4 + 5H2O

※KAlSi3O8はカリ長石でAl2Si2O5(OH)4は1:1型粘土鉱物のカオリナイト

となる。

緑泥石という名の粘土鉱物


陶芸にとっては評判の良いカオリナイトは栽培にとっては評判がよろしくない。



CECが低い1:1型粘土鉱物が堆積すると、土が締まりやすいという話らしいので、何も意識せずクエン酸溶液のみ散布すると土の劣化を加速する。


それでは真砂土以外の土地ではどうだろう?




桜島と火山灰


粘性の低い火山灰土壌にフォーカスを当ててみる。

上の写真の黒い鉱物の一つで角閃石というものがある。

角閃石の風化について過去記事から知見を引っ張ってくると、角閃石が風化すると、2:1型のバーミキュライトと1:1型のカオリナイトが生成されるという知見があった。

火山灰に含まれる粘土鉱物たち


2:1型粘土鉱物を放置して風化させ続けると、いずれは1:1型粘土鉱物になる。

微量要素を含む金属系の養分を土壌から溶脱するという点に着目する場合、残留物として生成される粘土鉱物をいち早くケアしておかないと、近い内に栽培者にとって不利になるだろうということが予想できる。

緑泥石から土の形成を考える


◯◯の肥料を使ったら発根が促進されるといった表面的な情報のみでの使用はよろしくなく、どうして効くのか?は把握しておく必要なのだと改めて感じる。

知らぬ内に追い込まれてしまうことが多々あるなと。


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