前回のシイタケのシイは何だ?の記事で、シイタケ菌と原木には相性があり、クヌギ等のブナ科の木が相性が良いとされていた。
この相性を決める要因は一体何なのだろう?
樹皮に含まれるタンニンの量か?
クヌギ等の樹皮にはタンニンが多く含まれているらしいので、それはないか。
シイタケ菌を含む糸状菌はタンニンを有効活用できそうだし。
なんて思いながら、検索してみたところ、古い論文ではあるが興味深い研究報告があった。
近藤邦亮等 スギ木粉によるシイタケ栽培 - 食用菌の吸水性の比較 - 日林九支研論集 No.50 1997.8によると、
Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
スギ木粉に含まえるフェルギノールという抗菌作用を持つ物質がシイタケの生育を阻害していると考えられているが、どうやらそれだけではないらしい。
この報告ではフェルギノールを除いたスギ辺材木粉であってもシイタケの生育が遅くなったらしく、その要因として木粉の含水率を見ていた。
エノキタケやヒラタケとの比較試験により、シイタケは培地の含水率の影響を受けやすい事がわかった。
シイタケ栽培における原木の水の含みやすさが相性を決める要因の一つであると見ても間違いなさそうだ。
シイタケ栽培では原木の種類によって味が変わるらしいが、原木の含水率であれば菌糸内のトレハロース濃度に影響を与えるような気がして、体内の各糖の構成に違いが生じるかもしれない。
同じブナ科でも成長の遅い常緑性のシイよりも、成長の早い落葉性のクヌギの方が幹の締まり具合が緩く、水が浸透しやすいということがあったりして。