植物の根でトレハロースを吸収して、それを活用するのか?の記事で植物におけるトレハロースの有用性を見た。
話は少しさかのぼって、ペニシリウム・ロックフォルティとラウリン酸と菌根菌までの菌根菌系の記事で菌根菌に感染された植物の体内にトレハロースが蓄積されることも見た。
その後、菌根菌が増殖しやすい環境は何だろう?とか、堆肥熟成中にトレハロースが残存することはあるのだろうか?と様々なことを様々な視点から追ってみた。
明確な解はないけれども、これらの過程で興味深い知見たちと出会った。
そろそろトレハロースとは一体何なのか?について触れていきたいと思う。
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トレハロースとはグルコースが1-1グルコシド結合で繋がった二糖で、互いの糖の還元性を持つ基が2つ繋がったものになるので、還元性を持たない。
還元性を持たないということはメイラード反応に関与しないとされる。
※メイラード反応に関与すると何が起こるのか?は過去記事を追ってください。
トレハロースについての特性は齊藤典行 トレハロースの特性と生理作用 ビタミン80巻 7号(7月)2006に素晴らしい説明が記載されていたので参考にすると、OH基の構成が水和力に繋がり、水分子との相性が良いとされる。
この特性を利用するとある製品において、トレハロースを加えると製品中の水分活性を低下させ保湿性を高め,保存性を向上させることが出来る。また,凍結・解凍時に起こる離水を防止することも可能となる。
保存性の向上での例として挙がっていたのが、タンパクの変性についてであるタンパクの溶液に対してトレハロースを添加し、凍結と解凍を行った後のタンパクの残存活性を見ると、トレハロースの添加によって向上していた。
人の健康としての例として、活性酸素の除去に関する酵素タンパクの安定化について触れられていたけれども、それは端折ることにする。
植物がトレハロースを得ることによって乾燥耐性を得るのもおそらく同じ原理であるはずだ。
徐々に植物が強くなるということが何なのか?が見えてきた。