堆肥の製造過程の最終工程時の変化に迫るの記事では堆肥中にトレハロースがどれほど残ったか?に注目した。
堆肥の熟成に関与する菌たちは乾燥ストレスに晒されるとトレハロースを減らしてグリセロールを増やすという話題になった。
よくよく考えたら、
堆肥製造は乾燥ストレスよりも高温のストレスに晒される方が早く、最高に温度が高くなった時は湯気が出て、熱くて触れない状態になる。
この時、木質成分を分解していた菌たちはどんな反応をしているのだろう?
キノコの糸状菌とは異なるけれども、酵母と乾燥ストレスについて過去に投稿した記事から引っ張ってくると、
高温時に細胞内の酵素タンパクが変性して不活性化してしまうが、トレハロースを合成することによって、タンパクが安定化する。
故に高温時には細胞内ではトレハロースの合成量が増加する
という内容を記載した。
酵母等の菌が死滅する温度は60℃付近であったはずで、堆肥製造では60℃を優に超える、
堆肥内が乾燥する前に高温域に到達するため、トレハロースは消費されずに残るということも加味する必要がある。
話は変わって、
シイタケ培地へ添加したトレハロースの子実体への影響(第1報)添加量と子実体の収量,含有量,鮮度保持,食味との関係 木材学会誌 Vol. 55, No. 3, p. 170-175(2009)
という研究報告に
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培養初期の菌糸体成長に伴って培地内のトレハロース含有量が増加し,その後序々に減少した。これは,菌糸体成長に伴う菌糸体由来のトレハロース量が増加し,その後菌糸体によりトレハロースが消費されたことを示唆している
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※上記リンク先の研究報告の173ページより抜粋
菌によって合成されたトレハロースは細胞外に出てくるタイミングがあって、菌は再び成長の為にトレハロースを吸収するタイミングもあると判断出来るような内容があった。
これは細胞外に分泌した酵素を安定化する為にトレハロースも細胞外に分泌するということなのだろうか?
あとは静置中の堆肥でどれだけトレハロースが残るか?これが重要だ。