前回、京都の亀岡の畑でネギがネナシカズラに寄生されているという報告があった旨を記載した。
ネナシカズラが今後脅威となるのか、それとも被害は少ないままでいられるのか?
この判断をするためにネナシカズラについて調べてみることにした。
はじめに何故ネナシカズラが畑に現れたのか?を追ってみると、アメリカネナシカズラ - 外来植物図鑑のページに1970年頃に輸入穀物か緑肥用種子による非意図的な導入であると考えられているらしく、種子の寿命は長く、動物の胃の中でも生存できると記載されていた。
これは日本全国に広がっていると見ても誤りではなさそうだ。
どこにでもいるという認識であれば、ネナシカズラがどのように成長するか?の把握は必須となる。
というわけで、前回の記事で記載した論文から成長に関することを整理してみると、
茎寄生植物ネナシカズラの寄生戦略 - 茎寄生研究用のモデル植物を目指す 生物の科学 遺伝 Vol.70 No.4(2016)
ネナシカズラは寄生できる植物種が非常に多い(宿主得意性は低い)。
ネナシカズラは発芽後、自身で光合成を行い速やかに宿主に接触する。
宿主に巻き付いた茎は寄生根と呼ばれる器官を発生させ、ペクチンを分解する酵素を発現させ宿主の体内に侵入する。
この侵入の様式は菌や細菌が植物体内に侵入する方法と同じだ。
ネナシカズラの寄生根が宿主植物の体内への侵入に成功すると、宿主植物の維管束と繋がり寄生が開始される。
寄生が開始されると根がなくなるそうだ。
畜産草地研究所:侵入危惧雑草種の発芽特性と防除方法:Cuscuta lupuliformis Krock. | 農研機構
この写真を見る限りでの感想だけれども、ネナシカズラはイネ科のようなシュッとした葉には寄生できるのだろうか?
古橋勝久 寄生植物のネナシカズラの生理生態学 生物機能開発研究所紀要 3:37-42(2003)の末尾に最初の寄生の確率が低いため幼植物が生き残る確率は低いと記載されている。
除草が徹底されている畑ではなく、
通路にマルチムギがあるようなところではネナシカズラは弱いということがあれば良いなと。