先日、福岡の会社のファームプロさんが京都に来られ、
製造開発に関与されている紅茶を頂きました。
株式会社ファームプロ – 消費者と農業者とが関わり合う社会を目指し、 「農」の価値向上のために様々なサービスを開発していきます
とはいっても、この紅茶はなんと緑茶の品種で作られたものです。
一応、緑茶と紅茶の違いを記載しておくと、
学生の頃の工芸作物学の講義をフルに思い出して書くと、
緑茶は未発酵茶で紅茶は発酵茶(ウーロン茶は発酵途中で止めたもの)に分類され、
発酵は微生物によるものではなく、葉の中にある酵素によって行われる。
茶葉を収穫後、葉を揉むことによって酵素が働きやすくなり、
その酵素によって茶の成分であるタンニンを紅茶特有の色であったり香りであったりの物質へと変化させる。
ここからは一部ファームプロさんから伺った話。
今手がけている紅茶は緑茶の品種を発酵させたもので、
緑茶の品種というものは、収穫時(一番茶、二番茶)は渋みの元であるタンニンがほとんど合成されず、
番茶として利用されるような三番茶あたりからタンニン(カテキン)が増えるものだとされ、
紅茶の品種はタンニンの合成が多めのものを選ぶ。
緑茶の品種で注目すべき特徴が植物性の旨味成分であるテアニン(グルタミンに似たアミノ酸)の含有量が高いというものが選ばれている。
旨味が多い且つ、紅茶の色合いや香りが高い三番茶を活用することで、
味覚良し、見た目良し、香り良しの紅茶を生み出すことができる
ということになるらしい。
というわけで早速試飲、
色、香りともに紅茶そのもので、
飲んでみると緑茶のような旨味を持ちつつ、紅茶のような感じがしました。
今回の紅茶ですが、製造の機械化も確立されており、
もうしばらくしたら販売が開始されます。
補足
テアニンについて調べてみたら、テアニンはタンニン(カテキン)の前駆物質で、
テアニンが合成されている時に遮光するとタンニンへの反応を抑えられるとのこと。
一番、二番茶は遮光して栽培するけれども、三番茶は遮光しないとなると、
元々緑茶用にテアニン多めの品種を選んでいたとすると、三番茶のテアニン含有量が多くなるはずだ。
タンニンを発酵させると、色素や香りの成分となるということは、
タンニンを分解してもテアニンに戻ることはないはず。
補足2
呈色成分はテルフラビンやテアルビジンが主で
香気成分はリナロール(レモンのような香り)やゲラニオール(花のような香り)が多く、揮発性のものとして青葉アルコールがあるとのこと