亜リン酸カリという肥料の話題が再び挙がった。

今回は、亜リン酸カリはベト病や疫病に効くというけど、その仕組みを知って他のリン酸肥料との使い分けをしたい。

というもの。


Phosphorous-acid-tautomerism-2D

亜リン酸 - Wikipedia


以前は肥料的な見方に還元剤の要素まで見たけれども、

細胞膜由来のリン酸肥料の使いどころはどこだ?


病気に効くということなので、サリチル酸のプラントアクティベータのような予防的な作用のものもあることだし、再び検索してみることにした。

防御の植物ホルモン、サリチル酸


というわけで、早速下記の記事が引っかかった。

病害発生を防ぐ 亜リン酸肥料 〜栽培現場における亜リン酸肥料の効果〜 2011 タキイ最前線 冬号


文中から一部抜粋してみると、

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亜リン酸が植物に病気の抵抗性のもとになるファイトアレキシンの生成を誘導し、その結果、作物が病害にかかりにくくなるとされています。(途中省略)亜リン酸の発病抑制効果は処理時期が重要で、病原菌と同時に接種すると発病抑制効果が低くなる傾向がある。

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と記載されていた。


ファイトアレキシンと言えば、ボルドー液の際に植物の免疫機構を活性化する時に挙がったし、

銅の機能を活かした農薬、ボルドー液2

ファイトアレキシン - Wikipedia


先程リンクを掲載したサリチル酸の予防的作用もファイトアレキシンだ。


つまりは、亜リン酸塩の肥料は肥効よりも予防の効果の方が強いのかもしれない。

先程の文章の続きを抜粋してみると、

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植物は直接亜リン酸を吸収できないといわれています。また、亜リン酸がリン酸と拮抗して吸収を抑制することから生育阻害するとも報告されています。しかし、亜リン酸は土壌中で微生物などによって分解され、リン酸肥料として植物に利用されることが報告されており、(以下省略)

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と記載されている通り、主の作用はリン酸を与えることではない。


亜リン酸がリン酸の吸収を阻害するというならば、亜リン酸は葉面散布のようなもので直接葉に与えるのが望ましいだろう。

そうなると、亜リン酸がファイトアレキシン合成の誘導のエリシターとして作用する時に材料となるアミノ酸が必要になるだろうし、亜リン酸がリン酸の追肥的要素で働かないのであれば、リン酸の施肥も意識しなければならない。


どちらにしろ、秀品率を上げる上で亜リン酸は重要な要素になる可能性をひしひしと感じる。

確実に言えるのは、カリはイオン化するので、カリ肥料としての利用ではおそらく正しく作用するだろう。

果実内発芽から見える土の状態