先日、知人経由で下記のことを質問された。
酵母の細胞膜由来のリンカリ肥料は、亜リン酸カリとどう違うの?と。
酵母由来のリン酸肥料の代わりに亜リン酸カリを施用しても大差ないんじゃないのか?
(因みにどちらも葉面散布として利用することが多い。)
いや、あくまで予想だけど、二つの肥料は全く違う形状のはず。
カリは水に溶かしてカリイオンとして働くというところで同じだけど、全く異なるのはリン酸の方で、前者の酵母の細胞膜由来のリン酸ということで、
イラストで表すとこんな感じ。
上の青丸がリン酸で下のギザギザが炭素が並んでいることを表す。
この形状はどこかで見たことがあるよね?
そう!
脂肪酸!
細胞膜由来のリン酸はおそらくリン脂質で
上のリン酸が付いている方が親水性で、下の炭素が付なっているところは疎水性で、この形状の分子はたくさん集まってミセル(コロイド)を形成する。
詳しくは臭いは球体にしてどこかに流すをご覧ください。
因みにリン脂質の化学式は、
By Ed (Edgar181) (Own work) [Public domain], via Wikimedia Commons
こんな感じ。
※Phosphateがリン酸
この形状の肥料を与えることで何が良いのか今の知識では判断できないけど、亜リン酸カリと比較すると全然違うことは分かる。
亜リン酸カリは亜リン酸の前駆体ということらしいけど、カリは水に溶けてイオンとして働くので、カリは水に亜リン酸のみに着目してみると、
亜リン酸は上の式のどちらかで存在している(互変異性化)
亜リン酸は二価の酸として働き、比較的強い還元剤としても働く。
ここからわかることだけど、亜リン酸は細胞内に取り込まれると何らかの作用を示す可能性がある。
リン脂質もそれなりの反応はありそうだけど、亜リン酸程影響は与えないだろう。
となると、資金力があるなら、亜リン酸カリよりも細胞膜由来のリン酸カリ肥料を利用した方が、マイルドに効いて安定的に栽培できそうだ。
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