耕土の深い層に潜伏した病原菌の記事で、

病原菌が耕土の深いところに潜伏していて、深く耕すことによって病原菌が上がってくることはどうなの?という疑問を考えてみた。

※ここではグラム陰性細菌の青枯病菌について触れている


そもそもの話で、

各種土壌消毒法による青枯病菌密度抑制効果の事例解析 - 農研機構機関リポジトリ

によると、深い層にいる病原菌は薬剤による土壌消毒の効果が届かない深さにいただけの可能性がある。


更に上記の解析結果によると、

土壌消毒に糖蜜やエタノールを利用すると深い層にいる病原菌の個体数が減ったとされている。


具体的な方法は、

糖蜜であれば、900kg/反の糖蜜を施した後、一旦湛水状態にした後、被覆して1ヶ月静置し、

エタノールであれば、60%エタノールを1000L/反程施用した。


糖蜜の方の原理は米ぬかを利用した土壌還元消毒で記載したものと同じ。

珪藻土等の有機物を付着する資材を入れていれば効果的らしい。

新規土壌還元消毒を主体としたトマト地下部病害虫防除体系マニュアル




話は変わって、最近土壌の酸化還元電位の話題を頻繁に見聞きする。

水田等の嫌気環境下において、土壌の微生物が有機物を分解した際に得られる電子をどのように扱うか?というもので、

土壌中でコウジカビ等が有機物と水から過酸化水素を生成する過程も含まれるはず。

過酸化水素が自然に発生している個所はどこだろう?


この話では、土壌中の鉄の還元も含まれ、土壌中のFe3+がFe2+になる反応もある。

キレート鉄の使いどころ


おそらく、


有機質肥料としての米ぬか


米ぬか等の有機物による土壌還元消毒には酸欠以外に水や鉱物の還元も関与している可能性がある。

過酸化水素 + 何らかでキレートされた二価鉄でヒドロキシラジカル(・OH)が生成され、強力な滅菌作用を示すことになり、特性上、グラム陰性細菌から死滅していく可能性があるからだ。

ポリフェノール鉄錯体と酸素供給剤で青枯病の発生を抑制


となると、

土壌改良材 + 米ぬか(もしくは糖蜜肥料) + 酸素供給材を仕込んで一雨当てて、マルチで覆って静置で、土壌中の病原性微生物の個体数が減り、繁殖しにくい環境ができるのではないだろうか?

アルミニウムの結合力とポリフェノールの吸着性

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酸素供給剤についての可能性に迫る


米ぬかであれば、菌根菌の増殖もあるだろうし、虫による食害も減るはずだ。

ヨトウ対策は植物ホルモンの視点から


問題は土壌消毒で使用する米ぬか等の量だけれども、

量が少なかったとしても連作せず、上記の構成を施した後、発根量が多いソルガム等の緑肥の栽培を間に挟めば、作物にとっての病原菌の生育環境は改善されるはず。

連作障害を制する時は相手のことを知れ


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