前回の広島は牡蠣の養殖が盛んの話で牡蠣の養殖で餌としてプランクトンの話題があった。
プランクトンといえば微細藻類からはじまる食物連鎖が思い浮かび、微細藻類の繁殖が重要な要因となるのが想像できる。
牡蠣の養殖は海岸沿いで陸地に近いところで行われているけれども、一旦視点を海洋の方に目を向けてみる。
海洋の微細藻類に関する書物をいくつも目を通してみると、必ずといって良い程記載されているのが、陸地から離れた海洋の藻類は常に窒素、リン酸と鉄不足に陥っているとのこと。
陸地に入ればこれらの成分は入手が簡単だけれども、窒素とリン酸は生物の営みが豊かでなければ循環していないだろうし、鉄は酸素と反応して沈殿しやすいので、海中でイオンとして光の届く浅いところにある状態はなかなかないだろう。
鉄は光合成にとって超重要な要素であって、鉄不足であれば、たとえ窒素やリン酸があったとしても微細藻類は繁殖しない。
微細藻類が繁殖しなければ、食物連鎖が成立しないので、鉄不足に陥っている海洋では生物がほとんどいないことになる。
話は沿岸の養殖に戻る。
以前、山の鉄が川を経て海へという記事で、陸地の鉱物から溶け出した金属 + 腐植酸等のキレートが海に流れることによって、海のプランクトンたちは繁殖できるという内容を記載した。
であれば、栄養塩を海洋で散布したらどうなるのだろう?という疑問が生じるけれども、この疑問を解消する実験は盛んに行われるらしく、そう都合良くはいかないらしい。
海洋で日常的に微細藻類が繁殖することが出来れば、海洋の生物ポンプの機能が高まり海の二酸化炭素の吸収量が上がって、諸々の社会問題は解決するかもしれない。
今までの話からふと、熟成鶏糞が微細藻類の繁殖に良い影響を与えるのではないか?ということが頭に浮かんだ。
摂取した鉄の大半はそのまま大便中に含まれるというし。
ただし、この時の鉄は酸化された鉄で有機物にキレートされたものではなさそうなので、どこかしらで鉄を還元した後、有機物でキレートされる必要がありそうだけれども。
読み物
自然水中における鉄の化学種と生物利用性-鉄と有機物の動態からみる森・川・海のつながり- 水環境学会誌 Vol.39, No.6, pp.197-210(2016)
鶏ふん 肥料化、アサリ増やす 福岡の企業が養殖事業参入 |【西日本新聞me】