鉱物は栽培上の問題の解決案を教えてくれるで硫酸は硫化鉱物が空気に触れ酸化することで自然に発生することを知ったと記載した。

硫酸の話題が出てくれば、栽培者であれば見ておきたいのが硫安(硫酸アンモニウム)。

肥料成分としての窒素(N)


もしかしたらこれも自然発生しているのでは?と思い、硫安の合成や製造について調べてみた。


検索してみて下記の資料がひっかかかった。

硫酸アンモニウム(硫安) BSI生物科学研究所


そこには硫酸とアンモニアを原料とする合成法の他に副産硫酸アンモニウムの回収というものがあった。

前に肥料製造会社から副産物は衣料製造の副産物という話は聞いていたけど、それ以外でも副産物として回収出来るらしい。


副産物の中であったのが、石炭ボイラーから出た排気ガス中の亜硫酸ガスをアンモニア液で中和し、副産硫酸アンモニウムを回収する(アンモニア注入法)というもの

石炭には若干の硫黄分が含まれており、石炭を燃やした際に発生する二酸化硫黄が酸性雨の原因となってしまうので、ボイラーの煙突から出る前にアンモニア水と反応させて硫安として取り除いておく。


石炭を大量に使用しているところで硫安が生成されているということになるのね。


ちなみにアンモニアは空気と電気があれば生成できるので、発電した一部をアンモニアの生成に回せば、アンモニアをわざわざ調達する必要はない。

ハーバー・ボッシュ法と緑の革命




石炭を大量に使用しているところはどこだろう?という事で思い浮かんだのが火力発電所。


karyokuhatsuden


ということで火力発電で石炭を使用しているか聞いてみたところ、火力発電では石炭か重油を使っていて、石炭は粉砕してから使用しているとのこと。

というわけで、石炭、石油系のプラントの脱硫(発電所だけではないよ)について調べてみたところ、三菱重工の技術論文で重質燃料焚プラントにおける排ガス中の高濃度SO3除去システムという記事があった。


読んでみると、以前はアンモニア注入法等が主流だったけど、最近の石油商品の品質要求の向上により硫酸の排出量が増えてしまったため、アンモニア注入法等では追いつかなくなってしまったとのこと。


そこで溶解塩噴霧システムという除去システムが開発され、高濃度SO3条件下においても除去出来るシステムが稼働している。


この時利用する塩はNa系塩(ソーダ法)やMg系塩(水マグ法)だとコストパフォーマンスが良く、Ca系塩(石灰石膏法)だと他にも薬剤投与しなければならず、コストパフォーマンスは悪いらしい。


この論文が2007年だとして、開発は実稼働までの期間を考えると、20世紀はアンモニア注入法が主流で、その副産物として硫安があったけど、今回読んだ技術が広く浸透しているとするならば、副産物としての硫安は少なくなっているという風に考えられる。

ただし、硫安の製造方法は石炭からではないので、アンモニア注入法由来の生成量が全体のどれ程を占めていたのか?は現時点ではわからない。


とりあえず栽培側から見た意見だけど、水マグは良い肥料だから、別用途の使用で肥料代の高騰にはなってほしくないところ。

※水マグはく溶性苦土で生理的塩基性肥料

く溶性の使いどころ

苦土と書いてクド。マグネシウムのこと

生理的塩基性肥料って何?


関連記事

肥料成分の偽装に関する意見について