株式会社誠文堂新光社 / 増補版 地層の見方がわかる フィールド図鑑
地形の把握のためにどんな用語があるのか知りたくて読んでみた。
鉱物や岩石もそうだけど、地層も想像すればする程わからなくなってくる。
原子の話が宇宙空間でも成り立つという話に触れた時も、原子の起源は何なのか?とか原始の生物という説があるコアセルベートの形成も偶然なのか必然なのか?
そこにも壮大な神秘があるものだと感じたものだ。
という前置きはここまでにして、地層に触れ、鉱物に触れると出てくる話題がある。
それは鉱山であって、鉄を採掘するための鉱山の話題があった。
その一例として挙がっているのが硫化物鉱床で、冒頭の本の122ページには、
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硫化鉱物は空気に触れ、適度な湿り気がある環境では酸化が進みます。硫黄分は硫酸に変化し、金属は水溶性硫酸塩として地下に浸透してゆきます。その結果、地表には結晶度の悪い鉄酸化物(褐鉄鉱)が残留し、赤褐色の"かさぶた"ができます。
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と記載されていた。
硫化鉱物として挙げられるものとして、硫化鉄(Ⅱ)、硫化鉄(Ⅲ)や二硫化鉄等がある。
これらの硫化鉱物が酸化で硫酸に変わるかはわからないけど、硫化物鉱床ではこのような反応が起こっている。
硫化鉄といえば
老朽化水田!
老朽化水田は長期的な還元状態で発生するので、ここにある硫化鉄は硫化鉄(Ⅱ)だと予想出来る。
硫化鉄(Ⅱ)が空気に触れ、硫酸を出しながら褐鉄鉱になれば、老朽化水田は解決するということになるわけで、硫化鉄(Ⅱ)について調べてみることにした。
硫化鉄(Ⅱ)は、組成式 FeS の無機化合物である。粉末の硫化鉄(II)は自然発火性物質である。
自然発火性物質であるということは、空気に触れ、酸化する事で構造が変化するという事が言えるわけで、硫化鉄(Ⅱ)の酸化の反応を見てみると、
4FeS + 7O2 → 2F2O3 + 4SO2
で硫化鉄(Ⅱ)から酸化鉄(Ⅲ)と二酸化硫黄が出来る。
この時、酸素によって鉄が酸化されている。
4SO2 + 2O2 → 4SO3
4SO3 + 4H2O → 4H2SO4
で二酸化硫黄が酸素と水と反応することで硫酸(H2SO4)が生成される。
自然発火性物質であるということは、常温時でも上記の反応がそれなりに起こるという事で、
老朽化水田になってしまった土地は、いちはやく水を抜き土を乾かし、夏場の乾燥で足場が固くなったらトラクターで耕し土の空気に触れる表面積を増やし、雨が降って水を当て、乾いたらすぐにトラクターで耕せば、次の作付ではそこそこの成果が出るのかな?なんてことを思った。
ただ、この反応で硫化鉄(Ⅱ)が酸化されたとしたら、硫酸が出てくるわけで、土壌が受ける硫酸からの影響を無視することは出来ない。
乾いた土の中で硫酸が発生するので、量は少ないといえ土壌の酸性は意識しておいた方が良さそうだ。
好都合なことに、土壌が酸性に傾いた時に鉱物から溶脱するアルミニウムは腐植の蓄積に一役買うというモデルがあるので、
このモデルが正しければ、二度目の耕起の際に腐植を入れてからトラクターで耕せば収量のV字回復も夢じゃない!
という展開になる可能性は十分にある。
※注意
腐植を入れるという意味で牛糞堆肥を入れてはいけません。