前回、自然免疫を高める食品は何か?という記事名で白血球の一種である好中球について触れた。
いずれ触れるかは決めていないけれども、獲得免疫という免疫という言葉を聞いた時に頭に浮かぶ方の免疫でオプソニン化という現象(主に細菌)の後、好中球の働きが効率化されつつ活発になるので、自然免疫と獲得免疫のどちらでも好中球の働きは重要になる。
上記の内容を踏まえた上で、前回の続きという位置づけで話を進めることにする。
前回、好中球が体内に侵入してきた病原体に対して、NADPHペルオキシダーゼやミエロペルオキシダーゼの酵素によって活性酸素を生成して、それを侵入者に当てる事によって殺菌するという作用を見た。
※他にリゾチームという細胞壁を溶解する酵素もあるけれどもそれは触れない。
この酵素群に関して気になることを三点程挙げたが、それは過去記事を読んでもらうとして、
最初にペルオキシダーゼの補酵素を見てみることにする。
前者のNADPHペルオキシダーゼはその名の通り、NADPH(またはNADH)となる。
NADPHといえば、植物の方の話になるが、
葉緑体内の光合成の明反応において、マンガンクラスターで水から取り出した電子をZスキームを経て、NADPHに電子を貯め込む。
ざっくりと書くと、NADPHペルオキシダーゼはNADPHから電子を受け取って、電子を酸素と水に与え活性酸素である過酸化水素を生成する。
※NADHは糖を代謝する際に生成される。
ミエロペルオキシダーゼの方の補酵素を調べてみると、この酵素は補酵素としてヘムを利用しているとのこと。
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これはヘムの前駆体であるプロトポルフェリンだけれども構造がわかりやすいのでこのまま話を進めると、化学式の真ん中あたりに空間があり、この中にマグネシウム(Mg)や鉄(Fe)が入ることで様々な生理作用を示すようになる。
中心にFeが入ったものがヘムで、ヘムは何らかのを還元(電子を与える)する時に利用される。
ヘムという言葉を聞いた時に頭に浮かぶ図が、
(画像:5-アミノレブリン酸の農業利用に関する技術開発 Regulation of Plant Growth & Development Vol. 40, No. 1 22-29, 2005の28ページより引用)
(画像:5-アミノレブリン酸の農業利用に関する技術開発 Regulation of Plant Growth & Development Vol. 40, No. 1 22-29, 2005の25ページより引用)
上記の合成経路で、光合成によって生成されたグルタミンからアミノレブリン酸を経て、ポルフェリン環が出来、クロロフィルやヘムが出来る。
免疫中の好中球が行っている事から連想されるのが、
葉の葉緑体で行われている光合成で、何らかの作用の為に活性酸素が合成され、その活性酸素が周辺に悪さをしないようにグルタチオンというスカベンジャー(回収屋)が余剰電子を回収して常に恒常性を保っている。
好中球から発生したものも周辺に悪影響を与えると言われているので、ターゲット以外では恒常性を保つ必要があり、光合成で行われていることと似ている。
葉緑素といえば、新たに重要視された栄養素の一つで、抗がん作用等があるとして注目されている。
これらの話が重なって、免疫に良い食べ物のとして、
春菊であれば葉緑素が豊富でありつつ亜鉛等の微量要素も豊富で良いのではないか?と思うようになった。
まだ触れていないけれども、水溶性の植物繊維であるペクチンも重要な役割がある可能性が高いらしいけれども、そのうち触れるかもしれない。
ただし、牛糞で土作りをしてこだわり野菜と名乗っている方の畑で穫れた春菊は除く。
慢性的なマンガン欠乏なんてされている野菜に健康的な効果は期待できない。
追記
ウィルスに感染した場合、好中球ではなく、ナチュラルキラー細胞等の細胞性免疫がウィルスに感染した細胞にアポトーシス(プログラムされた細胞死)の誘導が主であるらしい。
アポトーシスでもミトコンドリアから発生する多量の活性酸素が重要であったはず。
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