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前回の痛みは青葉の香りにのせて隣株に伝えるの記事で、ハスモンヨトウの食害を受けたトマトの葉から、青葉アルコール(ヘキセノール)という揮発物質が出て、隣の株が葉からそれを吸収すると、葉で糖を2つ付けて二糖配糖体にして貯蔵。その葉はハスモンヨトウに対して何らかの影響を与えるという研究内容があることを紹介した。


この内容を踏まえて次に気になる事はおそらく、

青葉アルコールの揮発と吸収はどの植物にも備わっている機能なのか?

栽培方法によって揮発や吸収の効果が落ちるということがあるか?

ではないだろうか。


これらの課題に取り掛かる前に、植物の揮発物質の前提に触れておく。

前回も触れた植物が香り化合物を出す仕組み、吸う仕組み 単純拡散では説明がつかない - 化学と生物 Vol. 56, No. 2, 2018の内容中で、物理的損傷による香り化合物の揮発のパターンは大きく2つあり、

一つは葉の中で香り化合物は常に貯蔵されていて、損傷時に損傷穴から香り化合物が揮発する

もう一つは葉が損傷を受けたことがトリガーとなり、損傷直後に香り化合物が揮発するというもの


これらを踏まえた上で今回の話を進めることにする。




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青葉アルコールというのは緑茶の香り成分として発見された不飽和アルコールの一つである。

茶と青葉アルコールのキーワードを元に検索してみたら、

茶の香気成分の貯蔵メカニズム 茶の香りをどのように繋ぎとめるか? - 日本家政学会誌 Vol.67 No. 4 238-242(2016)という読み物にたどり着いた。


この読み物では、ゲラニオールを中心に話を進めているが、青葉アルコールのヘキセノールでも同様の事が言えるので、ゲラニオールで話を進めると、


Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる

ゲラニオール - Wikipedia


ゲラニオールの水酸基(-OH)に糖をグルコースとキシロースを付加した二糖配糖体のβ-プリメペロシドを葉に蓄え、葉が損傷を受けた時に糖を外して葉の外に揮発する。


前回の葉で香り化合物を吸収する反応と同じような経路で香り成分を貯蔵していることになる。

前駆体を葉に溜め込み、損傷により香り化合物を合成するという過程になり、冒頭の香り化合物の揮発のパターンで言えば、後者の方になる。


次に気になるのが、青葉アルコールことヘキセノールがどのような合成経路であるか?ということだろうか。