土壌消毒を行う際、土壌改良材を使用してから消毒を行う方が良いのか?
もしくは土壌消毒を行ってから土壌改良材を施用した方が良いのか?
そんな質問を受けた。
質問をされた方は、
土壌改良材を施用したら土壌の微生物相が豊かになるけれども、
土壌消毒を行うとせっかく豊かにした微生物相がなくなってしまうのではないか?
確かにその不安はあるかもしれない。
だけれども、現時点での知見であれば、断然前者の土壌改良材を使用してから土壌消毒を行うことを薦める。
ちなみにここで言う土壌改良材というのは、
廃菌床等の木質資材を指す。
その根拠をこれから書く。
今回の内容はあくまでも参考程度にしておいて欲しい。
土壌消毒剤はクロルピクリンくん蒸剤で話を進める。
先日紹介したダゾメットであれば、アブラナ科緑肥の鋤き込みと似たような作用なので、話題に挙げるまでもない。
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クロルピクリンの作用機構は熱や光で塩化水素や窒素化合物といった強烈な酸化作用がある物質となる。
クロルピクリン自体が空気よりも重い為、土壌深くまで薬効がある。
これらを踏まえた上で、
土壌改良材を使用しなかった時に考えられることとして、
・土壌の物理性が低い事により、より深くくん蒸剤が浸透することが出来ず、対象となる病原菌の消毒を行うことが出来ない
・窒素化合物の酸化作用によって土壌中の鉱物を壊してしまう可能性がある。
前者はダゾメットやクロルピクリンによる土壌消毒の有効範囲が深さ45cmまでという報告がある。
クロルピクリンの特徴から考えると土壌の物理性が向上すれば有効範囲は確実に広がる。
後者は土壌中の鉱物が壊れるということは、栽培を有利にする微量要素の貯金のようなものを溶脱させてしまうことと、アルミニウムの溶脱があるので、どちらも避けておきたい。
物理性が向上する有機質の資材には土壌の鉱物を守るような作用もあるので、効果は低いかもしれないけれども守りを固めておきたい。
懸念事項である有用微生物相に対しての悪影響だけれども、
クロルピクリンが思うように効かない土壌はおそらく物理性が悪い環境であるはずで、
物理性が悪ければどちらにしろ有益な微生物は活発にならないだろう。
そもそも有益な微生物群が活発な環境であれば、
土壌消毒をしようという発想に至らないはずで冒頭の疑問も生じない。
可能であれば、
土壌改良材 → 土壌消毒 → 改めて土壌改良材 + 米ぬか等の有機質肥料
といった手順を行えば良いはず。
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