高槻の清水地区のレンゲ米の水田の田起こしの記事で水田の冬季にレンゲを栽培している方と、レンゲを育てることによって、次作で栽培する米の美味しさは向上するのか?という話題になった。
個人的な意見ではレンゲ米は通常の栽培と比較して美味しくなるだろうと判断している。
一般的にはマメ科のレンゲを育てることによって、マメ科特有の窒素固定によって土壌の肥料分が補われ、ほとんど肥料分を必要とせずに育てることができるということを言われているけれども、ここには美味しさの話題はない。
マメ科緑肥で得られる量の有機の窒素肥料を入れたら、レンゲ米と同様の美味しさになるはずで、もし同様の美味しさになるのであれば、レンゲとこれらの肥料を併用すればもっと美味しくなる可能性がある。
有機の窒素肥料の例として
油かす、
魚粉や黒糖肥料がある。
ここで気になるのが、食味の品評会で圧倒的なスコアを叩き出した地域では、レンゲ栽培も上記で挙げた肥料も使っていないことから、米の食味に大きな影響を与える要因は他にありそうだ。
※圧倒的スコアを叩き出した地域でレンゲや上記の肥料を使うことで更にスコアが向上する可能性も十分あり得る。
そもそもの話で、マメ科緑肥の窒素固定による窒素成分の土壌への供給量はイメージしているよりも多くはないという話題があったはずで、マメ科緑肥の活用は土壌微生物叢の向上に役立つ。
以前、米の美味しさは水の綺麗さというけれどの記事で米の美味しい地域のことを整理して、米の美味しさはおそらく田に入れる水に溶けているミネラルと、イネがシリカを吸収するとの記事で触れたシリカ(水溶性のケイ酸)を吸収することで得られる受光体勢の向上による光合成の質の向上が影響しているはず。
水田の冬季のレンゲの栽培で、上記で挙げたミネラルやシリカの吸収はおそらく向上するはずだと予想している。
レンゲの効果を考えるにあたって、先に緑肥で得られる効果をまとめてみる。
緑肥といえばですぐに思いつくものが、
・鋤き込みの際に土壌に肥料分を補給する(主にマメ科)
・鋤き込みにより土壌の有機物量が増える
というものがあり、次作の肥料の削減や土壌の物理性の向上を狙っている。
緑肥は上記のものよりももっと素晴らしい効果を狙うことが出来、
・土壌の物理性の向上(主に団粒構造でイネ科の緑肥が適している)
・土壌微生物叢の向上(主にクローバ)
・連作障害の回避(緑肥全般)
等が挙げられる。
先に上記の三点の共通点を挙げておくと、各緑肥の発根の仕方と発根量が超重要な要因となる。
緑肥を栽培する前に、どれだけストレスのない環境を用意できるか?で緑肥の効果が決まる。
先に挙げた窒素固定による土壌への窒素分の補給と、有機物の鋤き込みの量も発根量がかなり影響を与えている。
なので、緑肥を栽培する時は、次作で使う予定だった土壌改良の資材を使うことが重要になるわけだけれども、ここではこれ以上触れないことにする。
土壌の物理性の向上は緑肥の根が硬い土に根を生やす際に土を柔らかくする。
二番目の土壌微生物叢の向上は飛ばして、連作障害の回避は土壌で極端に溜まった肥料分を緑肥に吸収させることによって回避する。
この時も発根量が多ければ、余剰の成分の吸収量が増えるので、発根しやすい環境にしておくのは必須となる。
これらを踏まえると、水田の冬季のレンゲの効果が見えてくるはず。
-続く-