シバの分げつを見るの記事でイネではないが、イネ科植物の不定根を見た。
不定根の発生は米の秀品率に大きく影響を与える要因であることは間違いないので、不定根の発生についてわかっていることを把握しておきたい。
(イラストは双子葉植物だけれども)不定根といえば、高校生物で
頂点で合成されるオーキシンが根の方に移動する際、地上部の途中にある脇芽の発生を抑制しながら、
根に近い箇所、もしくは根の地表面付近の根の発根を促進すると習う。
このオーキシンの作用と反対の植物ホルモンとしてサイトカイニンがあり、イネは長い育種の歴史においてサイトカイニン含量が増えたの記事で触れた通り、根で有効な形に修飾され、地上部に輸送されつつ、オーキシンと反対の作用をする。
この内容に触れた時、オーキシンの作用で根量が増え、増えた根からサイトカイニンの合成が盛んになり、根の生育が抑えられ、地上部の脇芽が活性化して脇芽が増える。
増えた脇芽の頂点からオーキシンが盛んに合成され、新たな脇芽の伸長を抑えつつ、増えたオーキシンの作用によって根量が増え…を繰り返すのだなとうっすらと思ったものだ。
※オーキシンは実際には頂点ではなく、体内の至るところで合成されている
笠原博幸著 植物におけるオーキシンの生合成とその調節機構 オーキシンは植物のさまざまな器官でつくられる - 化学と生物 Vol. 55, No. 7, 2017
今知りたい事として、オーキシンが不定根の発生に関してどのような影響を与えているか?
早速、とっかかりとして、
講談社から出版されている新しい植物ホルモンの科学 第3版のオーキシンの章を開いてみた。
オーキシンは各器官の形成に関与していて、器官の形成の際には細胞の増殖に影響を与えている。
細胞の増殖の調整によって、
茎の先端は常に光の方を向くように屈曲(光屈性)し、根は常に地面を目指すように屈曲(重力屈性)する。
この局所的な細胞分裂は、オーキシンによって細胞壁が緩んだり、核の位置(非対称分裂)を変えたりして調整しているが、それは今回は触れない事にする。
※深城 英弘・郷達明著 オーキシンを介した側根形成の分子機構 - 植物の生長調節 Vol.47, No.2, 2012
他に維管束の形成周りの話題もあるが、それは次回にする。