いずれどこかで詳細を記載する事になるだろうけれども、最近、カビについて細部まで理解する必要が出てきた。
とっかかりとして、当ブログでもカビに関する本をいくつか紹介しているけれども、それらを読んでもしっくりこなかったものがある。
US Department of Agriculture, Agricultural Research Service, Systematic Botany and Mycology Laboratory, [1], パブリック・ドメイン, リンクによる
例えば、農業資材で頻繁に見聞きするトリコデルマだけれども、小学館の図鑑NEO きのこを開くと、トリコデルマはボタンタケ科と記載されているのに、
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上の子実体ではなく、冒頭の写真の如何にもカビっぽい写真が掲載されていた。
二番目の写真はボタンタケ科のツノタケというキノコだけれども、学名を見ると、Trichoderma alutaceumとPodostroma alutaceumの二個が記載されている。
前者のTrichodermaはトリコデルマ属という意味があり、後者のPodostromaはツノタケ属という意味がある。
この二つの名前があることはカビ特有のものであるらしく、様々なカビに関する本に記載はされていたが、いまいちイメージしにくかった。
何故、トリコデルマには二つの名前があるのか?
国立科学博物館の方が菌類に興味を持った方へのとっかかりの本として書かれた菌類のふしぎ 第2版 形とはたらきの驚異の多様性 - 東海大学出版部という本を読んで腑に落ちた。
この本の素晴らしいところは、菌の古い分け方と新しい分け方を丁寧に記載しているところで、現在は廃止された分類法が記載された後、どのような発見があって新しい分類法に移行したか?が記載されている。
何故二つの名を残しておくのか?という事が丁寧に記載されている。
当記事の中盤で挙げたTrichoderma alutaceumとPodostroma alutaceumは属の方(名前の前半)のみ異なり、後半は一致しているのでわかりやすいが、アカボタンダケのTrichoderma virideとHypocrea rufaが同一であるということは名前からでは判断できない。
何でこんな事になっているのか?は不完全菌類という分類法が背景にある。
トリコデルマを理解する為に、菌の研究の歴史を見てみよう。
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