土壌診断のECの値が話題に挙がったので、改めてECについて見ることにしよう。
ECというのは、電気伝導率(electrical conductivity)のことで、溶液中で電気を通しやすいものがどれ程溶けているか?を測定したものになる。
土壌のEC値に関与しているものが塩類という水に溶けやすいもので、塩類には食塩(塩化ナトリウム)の他に、硝酸態窒素である硝石(硝酸カリウム)、硝安(硝酸アンモニウム)や硫安(硫酸アンモニウム)等がある。
栽培の指導ではECは土壌中にどれ程の窒素肥料が残っているか?を測定するものと言われるが、それは正しくない。
例えば、主要な要素を硫安、塩化カリとリン酸カルシウムにして、ECを測定しても、EC値は高くなるが、窒素分があまり含まれていないことはすぐにわかる。
※カリやカルシウムといった金属は電気を良く通し、硫安の硫酸イオンも電気を通すため
土壌でECが高い場合は、窒素肥料が多い傾向(正の相関関係)にあることから、ECが高い≒窒素肥料が多いという考え方になっている。
ちなみに、土壌分析のECの単位はmS / cmで、かなり細かい数値を見ている。
※mSはミリジーメンスと読む
もうひとつ注意点を挙げておくと、農業におけるECは土壌中の塩類濃度を見ているため、
有機質肥料の中で窒素分を多く含む方に分類される油かすはまだ水に溶けていないので、EC値の対象外となる。
続いて気になるのが、土が固形であるということ。
固形の土からどうやって塩分濃度を測定するのだろうか?
土 1 : 水 5になるように、水を含んだ容器に土を入れて、30分程振とう、しばし静置した後の濁った上澄み液を測定する。
実験等で何度も測定した経験があれば実感すると思うが、土が少ない、もしくは水が多い場合はEC値は低くなるし、その逆であればEC値は高くなる。
単位がmS / cmで小さい数字であるため、振とうや静置の時間の影響も無視できない。
簡易測定の結果はあくまで目安程度に留めるべきで、その数値が肥料の残量に直結しないことは常に意識しておいて良いだろう。
簡易測定の結果は塩類集積の兆候を見る程度にしておくことが無難かなと。
EC値から硝酸態窒素の量の簡易的な計算があるが、それはボリュームがあるので今回は触れない事にする。
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