今年は稲作で追肥をしている方をよく見かけるの記事で、タイトルの通り、一発肥料 + 追肥(穂肥)をしている方をよく見かけるという内容を記載した。

先日、比較的若手の稲作をされている方が、家業の稲作を継いでからはじめて追肥(穂肥)を行ったという話を聞いた。


10年以上も稲作を行っていてはじめての追肥。

それだけ一発肥料の設計が秀逸であった事がわかるのだけれども、その一発肥料が意図通りの肥効を示さず、追肥を行う状況になってしまった事は深刻視すべきだと思った。

一発肥料は穂肥も加味した設計になっているからだ。

稲作でよく見かける一発肥料について


一発肥料が意図通りの肥効ではなかったことに関する個人的な見解は、冒頭の記事に記載した通り、中干し期間が猛暑日とぶつかってしまい、高温障害を受けた事。

もう少し詳細を記載すると、


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ヒビ割れの大きさと数が例年以上で、割れる際の土壌粒子同士のつながる力によって根が切断された、もしくは局所的な高EC状態になり、浸透圧による根の損傷(発根抑制)が考えられる。

※ヒビ割れを起こす土壌は物理性が著しく低い為、乾燥するとECが高くなりやすく発根は抑制される

植物ホルモンから再び牛糞堆肥による土作りの価値を問う


それ故、


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早く訪れた猛暑日は稲作にどれ程影響するか?の記事で記載したような金属系の要素欠乏だと見られる症状が発生した田が多く見られた。

もし予想が正しいとするならば、この後に追肥を何度も行おうが意図した肥効にならず、経費ばかりがかさむ状態になるだろう。




追肥をしている方を見ていて思ったことがある。

穂肥で使用される肥料はすぐに効いてほしいので水溶性の無機肥料を選ぶことになる。

尿素は硫安の様な速さで効くか?


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施肥後の登熟期に向け再び田に水を張るので、追肥した肥料は水に溶けることになる。

この肥料はイネが使うと思いきや、


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体の小さい緑藻や浮草が積極的に利用する可能性が高い。

追肥したものを浮草が積極的に利用するとなると、浮草が繁茂して水面を覆い、太陽光が田の底に届かなくなり地温が下がる。


これから気温が落ち着く時期になり、地温が大事になる季節。

地温が低いと根の養分吸収量が減る為、追肥した肥料の肥効が更に下がる。


昨今の肥料が高騰している状況において、この状況は経営的にきつい。


これからの稲作は一発肥料の設計を確実に効かせることを目標に環境整備する必要があるのだろうなと。

稲作の中干しという管理技術の歴史は浅い


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