稲作のリン酸肥料としてBMようりんについて触れておくの記事までで、リン酸の化成肥料の製造方法について触れてきた。
どちらの話題でもリン鉱石(燐灰石)が共通していた。
燐灰石といえば、輸入に頼っている資源として有名で、高騰しやすい資源としても有名である。
以前、リン鉱石から考える未来のことの記事でリン鉱石は生物の骨等の生物由来のリン酸が石灰岩に含まれることによって形成された鉱物だと記載したが、それだと腑に落ちないことがあるので、今回は更に調べることにする。
腑に落ちないことというのは、生物が誕生する前からリン酸はあったわけで、それを取り込んで生物は進化していった。
であれば、リン酸は生物の骨関係なく、天然の鉱物の中に含まれているはずだ。
というわけで、化学同人のネイチャーガイド・シリーズ 手のひらに広がる岩石・鉱物の世界 岩石と鉱物の燐灰石(148ページ)の説明を読んでみたら、燐灰石はスカルンなどの変成岩中で産出すると記載されていた。
スカルンというのは、石灰岩等の炭酸塩岩に花崗岩マグマ等の熱源が接触して出来た鉱床を指す。
この説明であれば、上記の生物由来のリン酸が石灰岩に含まれるという説明と合致するので話は進まない。
上記で紹介した本で読み進めてみると、トリプル石 (Mn,Fe,Mg)2PO4(F,OH)という燐酸塩鉱物が記載されていた。
トリプル石は花崗岩ペグマタイトの初生鉱物として生成すると記載されていた。
興味深いことにトリプル石付近で燐灰石も一緒に得られることが多いと記載されいた。
私の拙い理解で説明すると、花崗岩ペグマタイトは花崗岩マグマが固まって岩になる時に岩の中に隙間が出来て、そこで結晶が育つことを指す。
トリプル石が初生鉱物(マグマから初期で生成される鉱物)であり、燐灰石がスカルン等の熱変性によって生成されるのであれば、燐灰石がトリプル石から生成された二次鉱物と解釈しても大きな間違いではないはず。
とりあえず、リン鉱石が生物由来以外でも有ることは把握できた。
トリプル石は希少性が高いそうなので、鉱物由来のリン酸は生物が持っていってしまって、量が少なくなってしまったのかな?