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カフェインの構造を眺めてみたらの記事で、プリン体(プリン塩基)の一つにカフェインがあるという内容を記載した。
カフェインがプリン体であることを意識すると、カフェインの効果で一般的に言われる覚醒作用が何なのか?が見えてくるらしいので、カフェインの効果を整理してみる。
カフェインが覚醒に関与する前に、睡眠についてを整理しておく。
睡眠とは何なのだろうか?の記事で
覚醒に関してオレキシンというブレークスルーレベルの発見があり、日常生活において睡眠が主で覚醒が副の関係にあるという考えが有力となった。
このオレキシンの発見の前にも様々な睡眠に関与する物質の研究がされていて、候補の一つに挙がっていたものに、
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アデノシンがあった。
※以後のアデノシンの話は櫻井武 睡眠の科学 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか 改訂新版 ブルーバックスを参考にして話を進める。
アデノシンの構造を見ると、プリンの左下にリボース(糖)が繋がった構造をしている。
※冒頭のカフェインのプリンの構造と、アデノシンのプリンが対象になっていることに注意
アデノシンは体内の様々な場所で関与しているが、睡眠(脳や神経)に焦点を当てて話を進めると、神経で様々な物質が放出される時、
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ATP(アデノシン三リン酸)からリン酸基(-H2PO4)が三個外れてアデノシンになる。
このアデノシンが蓄積していくと、アデノシン受容体というものを介して抑制性の神経が優位(興奮性の神経が抑えられる)になり、睡眠の誘導に繋がる。
※アデノシン受容体は細胞膜にあって、アデノシンと結合すると抑制性の神経に作用する
ただ、ここで一点注意が必要なのが、一見アデノシンが睡眠誘発物質に見えるが、オレキシンが発見されるまでの候補の一つであったことだ。
アデノシンが蓄積されなくても睡眠状態になるということを頭の片隅に入れておくと良い。
蓄積されたアデノシンは睡眠時に減っていく。
ここまで見ておけば、カフェインの作用が見れるようになるが、それは次回に触れることにする。
-続く-