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魚粉肥料についてを細かく見てみるの記事で魚粉(魚粕)肥料の定義に触れた。

定義を見る限りでも、赤身魚系(ブラウンミール)と白身魚系(ホワイトミール)に分けられたり、加工方法に違いがあったりすることがわかった。


上記のような違いがあれば、当然養分の構成にも違いが出てくるのは当然なので、魚粉肥料について深堀してみる。




最初に農水省のサイトで見つけた魚粉肥料についての資料を紹介する。

酵素処理魚粉 - 農水省で触れている酵素処理魚粉だけれども、


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製造方法にイワシを粉砕し、酵素で加水分解後、タンパク質を濃縮したものをスプレードライ処理した粉末状の商品と記載されている。

タンパクを形成するペプチド結合


上記の方法は魚をそのまま魚粉へと加工して、こんなに価値のあるものを肥料にするの?と疑問に思ったが、用途は飼料だった。


酵素処理をすることで、筋肉等の大きなタンパクの一部がペプチドやアミノ酸に変わっているのだろう。

窒素肥料の複雑さ


今回は飼料としての話題だけれども、イワシ肥料は干鰯(ほしか)という名称で使用されていた歴史があるので、その前提で話を進める。

魚粉肥料は良質な動物性タンパクの有機質肥料と思われがちだが、上記の製造方法から、骨等の器官もそれなりに含まれることになるので、骨の主成分ことリン酸カルシウムも意図しない形で畑に投入してしまうことを常に意識しておくべきだろう。

干鰯 - Wikipedia

土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第

施設栽培で軽微な鉄欠乏の症状を見逃すな


イワシの100g当たりの栄養価で肥料に関与する成分をピックアップしてみると、

タンパク質24620mg
カリウム397mg
カルシウム382mg
マグネシウム39mg
リン490mg
鉄分2.92mg
亜鉛1.31mg
0.186mg

イワシ#利用 - Wikipediaの100gあたりの栄養価の内容を改変して記載


となっていて、肥料の三大要素のうちのリン酸とカリがタンパクと比較して少ないので、そこまで心配する必要はないかもしれない。

ここでふと気になることが生じたのだけれども、それは次回の記事で触れる事にする。


-続く-


余談

イワシの栄養価でカルシウムよりもリン酸が多いこととして、リン酸にはリン酸カルシウムと核酸があるからだろう。

窒素肥料の複雑さの続き