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米ぬか嫌気ボカシ肥を作ってみたいという意見が多かったので、種菌作りをしてみた。

上の写真は仕込んだ後に日陰に置いているところ。


営農している方にとっては米ぬか嫌気ボカシ肥は量的に現実的ではないが、得られる知見は多いので一度は作ってみる価値はあると思っている。




米ぬか嫌気ボカシ肥の仕込みに関しては米ぬかボカシを作ろう!仕込んでみる!の内容と同様なので、今回は触れないでおく。


種菌は食料品店で購入したぬか漬けについていた米ぬかを使う。

ぬか漬けに求める菌がいれば良いなと祈りながら仕込みの作業を行った。




微生物の知識が増えてきたので、今回は米ぬか嫌気ボカシ肥作りで関与する微生物を見ていくことにする。


米ぬか嫌気ボカシ肥で関与すると思われる菌は下記になるだろうか。

・酵母(真菌)

・乳酸菌(細菌)

・酪酸菌(細菌)

※ぬか漬けの発酵に関与する菌を参考


酵母は酸素があるところでは呼吸(デンプン → ブドウ糖 → 水 + 二酸化炭素の反応)を行い、酸素がないところでは発酵(デンプン → ブドウ糖 → アルコール)を行う。


乳酸菌は通性嫌気性菌である可能性が高く、酸素があってもなくても増殖できて、酸素がある場合は呼吸を行い、酸素がない場合は発酵(ブドウ糖 → ピルビン酸 → 乳酸)を行う。


酪酸菌は偏性嫌気性菌になり、酸素があるところでは生息できません。

酪酸の合成は、乳酸 or 酢酸 → 酪酸の過程で反応が進む。




最初に触れておくべき内容は、米ぬか嫌気ボカシ肥作りがうまくいった時に感じることが出来る甘い香りになるだろう。


代表的な香り成分として、


Ethyl_butyrate


酪酸エチルがある。


この香り化合物がどのように合成されるのか?を見ていくことにしよう。




酪酸エチルは、


Butyric_acid_acsv


酪酸と


Ethanol-2D-skeletal


エタノールがエステル結合によって合成される。

以下が化学反応式になる。

C4H8O2(酪酸) + C2H6O(エタノール) → C6H12O2(酪酸エチル) + H2O(水)


上記の反応は主に酵母の持つエステル合成酵素(AATase)によって行われる。

上記の反応で注意すべき点として、香り化合物が生成される度に少量の水が発生している。


この反応を俯瞰してみると、酵母がエタノールを合成して、乳酸菌と酪酸菌が協力しあって酪酸を合成しているという点で、酪酸菌は偏性嫌気性菌であるため、米ぬかボカシ肥作りでは密封が大事になることがわかる。