芳香族系香気物質の記事で、芳香族ことベンゼン環を持つ香気物質について見た。
冒頭の化合物はナッツ等で見聞きするベンズアルデヒドという香気物質になるが、これが酸化すると、
安息香酸というカルボン酸になる。
この安息香酸は香気物質としては香りが弱いらしいが、安息香酸でどうしても触れておきたい内容があるので、今回はその内容を記す。
中村英光 植物ホルモンによる植物保護の新展開 - 日本農薬学会誌 47(2), 104 日本農薬学会誌の内容になるが、安息香酸を前駆物質として合成される重要な化合物があって、それは、
植物ホルモンのサリチル酸になる。
以前、防御の植物ホルモン、サリチル酸の記事でも触れたし、先程リンクを掲載したレビューのタイトルにもあるように抵抗性に関与している。
植物体内におけるサリチル酸の合成経路は2つあるそうで、そのうちの一つがフェニルアラニン → trans-ケイヒ酸 → 安息香酸 → サリチル酸のPAL経路になる。
※PALはとフェニルアラニンアンモニアリアーゼの略
PAL経路はイネのサリチル酸の合成で重要であるそうだ。
前回の記事でみた安息香酸の合成と、今回のPAL経路は異なる経路になるが、香りが強くなる程、サリチル酸の合成量が増えるといったことがあれば良いな。
ちなみにだけれども、サリチル酸がメチル化(-CH3を付与)されると、
サリチル酸メチルという香気物質になり、植物が食害性昆虫がダメージを受けた時に天敵を集める為に役立っている可能性がある。