学部生の頃に受講した肥料学の講義にて、食糧危機を引き起こす要因として挙げられる要素としてリンの枯渇がある。
という内容があった。
リンは栽培に限らず、畜産でも重要なポジションを占める。
栽培ではリンは肥料の三大要素として挙げられ、畜産では産卵鶏の品質向上のための飼料として挙げられる。
なぜリンが枯渇するという話題が挙がるのか?は一旦置いといて、先日の鉱物展で
沖縄県の石としてリン鉱石が展示されていた。
これが話題に挙がりやすいリン鉱石か…
リン鉱石は生物の骨、海鳥の糞、死骸に含まれるリン成分が下位の石灰岩に染み込んで形成した海成堆積性の鉱石である。
石灰岩やチャート同様、海底が隆起することによって地表に現れる。
上記の理由だったら、リンが枯渇するという話題があるならば、石灰岩の話題が挙がっても良いだろう。
ここの背景にはリンが肥料の三大要素で多く使用されてしまうのと、もう一つ大きな特徴があるからだろう。
これも肥料学で話題に挙がっていたことだけれども、
関東全域において富士山からの安山岩質的火山灰からの土壌で形成されていて、とても栽培しやすい土地であったのだけれども、火山灰土壌には大きな欠点がある。
それは活性アルミナというアルミニウム障害が発生しやすいということで、
多発するアルミニウム障害に対して、アルミニウムと結合して無害化するためにリン酸の大量使用を行った。
施与されたリン酸は溶脱したアルミニウムイオンと結合し、リン酸アルミニウムという形で地中深くに埋めてしまう。
ここで使用したリン酸は地下水を経て海底に溜まり、大きな地殻変動が無いと再利用出来ないとのこと。
大きな地殻変動なんて人類史において、あるか無いかの大イベントのため、リンは有限で枯渇が近いと判断されている。
学部生の時はリンは枯渇するから大変だと認識したけど、栽培においてリンは多投され気味だし、
畜産においては家畜の生理的な理由で過剰給餌になっているし、
活性アルミナは腐植で無害化出来る可能性があるし、
栽培と畜産がうまくつながれば、リン鉱石の枯渇までに時間は大幅に延ばせるのではないだろうか?と
学部生の頃から10年以上経過した身として、そんなことをふと思いましたとさ。
関連記事
土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第