もう、牛糞で土作りなんて止めようよシリーズで牛糞堆肥で土作りをすると秀品率が下がりつつ、経費が上がるということを散々書いてきたら、SNSや掲示板で偏見だとか声の大きなやつがといったことが書かれているのが時々目に付く。
牛糞堆肥でこだわりの土作りをしている方で年々収量を落として、下手すると経営が傾きかかっていることすら起こっている。
常識を疑うようなとんでもなく良い現象が起こっていう畑も見かけない。
ここで気になるのが何故こんなにも牛糞堆肥が土作りにとって良いという話が出ているのだろうか?ということ。
ここから先は個人の戯言のようなものだから、まぁ、適当に流してください。
以前、とある出版の編集者から栽培の本は関東を基準として書かれているため、関西の土では通用しないという意見が時々あると言っていた。
牛糞堆肥が土作りにとって有効だというのは、関東の土の特徴が密接に関わっているのだろうなと
(もしくは政治的な何か)
というわけで、関東の土を思い返してみると、
非アロフェン質黒ボク土とフィールド科学に魅せられて 肥料科学,第29号,1~62(2007)の18ページから引用
関東というのはアロフェン質の黒ボク土が広く分布している。
アロフェンというのは塊状の粘土鉱物で、アルミニウムイオンが溶脱しやすい鉱物でもある。
さらにアロフェンには他の粘土鉱物にはないAECがあり、硝酸イオンやリン酸イオンといったマイナスの電荷を持つイオンを吸着できる。
アルミニウムは土壌中に大量にあると根の伸長を阻害してしまう厄介な物質で、硝酸(態窒素)は土作りでマイナスとなるECを高めてしまう物質である。
更に牛糞に限らず家畜糞堆肥では貯蔵性リン酸であるフィチン酸がたくさん含まれている。
硝酸は強酸であるため、牛糞堆肥に蓄積する硝酸態窒素(硝酸塩)は生理的酸性〜中性の無機塩の肥料となる。
硝酸態窒素によって鉱物が壊れるのが衝撃的だったという報告があるぐらい、土壌における硝酸塩の影響はあると言える。
改めて黒ボク土のことを挙げてみると、腐植に富んでて、排水性、保水性が高いけれども、アルミニウムイオンを溶脱しやすく、根の障害が発生しやすい。
このアルミニウム障害はリン酸カルシウムを施肥することで回避できるということがわかっている。
水に溶けたリン酸がアルミニウムと強固に結合して無害化させる。
※リン酸とアルミニウムが強固に結合という特徴が黒ボク土でリン酸欠乏が頻繁に発生する話につながる
牛糞堆肥の問題点は、リン酸が多いこととECを高くしてしまう硝酸塩を多く含むことで、土壌から溶脱したアルミニウムは牛糞内のリン酸がキャッチし、残った硝酸根は排水の良さであったり、AECによって土壌が吸着する。
これによってECは高まりにくい状況となる。
あとは牛糞堆肥内に残った腐植分だけど、これはアロフェンによって結合して有効な腐植として土壌に残る。
つまりは、アロフェン質の土壌と牛糞堆肥の互いのネガティブな要素が相殺し合って、アロフェン質のポジティブな要素と牛糞堆肥内の腐植が相乗効果を起こす。
これによって牛糞堆肥による土作りがポジティブな結果であるように見えたと。
この意見が正しいのであれば、牛糞堆肥による土作りで成果が出るのは
・北海道の東部
・東北の東部
・関東一帯
・九州の中部と南部
ということが言えるね。
関東での手法に従って、長野や関西圏の産地で牛糞堆肥による土作りをすると、牛糞堆肥のネガティブな面が目立って栽培できない状態まで追い込まれるということなのか?
※ハウスでの栽培では特に顕著
あとは減肥率の話かな?
牛糞堆肥は硫安等の窒素肥料の代替として扱われ、化学肥料の使用率を安価な窒素肥料の牛糞堆肥に置き換える。
牛糞堆肥は窒素肥料としてみれば、遅効性肥料の区分になるので要件を満たす。
減肥率の考え方であれば、どの地域であっても期待通りの結果を残すことができる。
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