農文協から出版されているオランダ最新研究 環境制御のための植物生理という本で、ケイ素の話題がある。
未解明の部分は多いが、ケイ素がもたらす良い効果が紹介されている。
例えば、
レタスがケイ素を吸収し体内で利用することで、マンガンの毒性を緩和するというもの。
マンガンは光合成にとって重要だけれども、活性酸素に関与する要素でもあるわけで、葉に局所的に蓄積されると毒性を生じる。
レタスがケイ素を吸収する事によって、葉内のマンガンの分布を均等にして、局所的に集中する事を阻止する。
葉内でマンガンが均等に分布するということは、葉内の光合成のムラがなくなるわけで、株の生産性に直結する。
他に
トウモロコシではケイ素を吸収することによって、気孔を介した蒸散を抑制する事が発見されている。
であれば、次に気になるのが、
トマトとケイ酸はどうなのだろう?ということで検索をしてみたら、三宅靖人著 土壌の活性ケイ酸と植物 岡山大農学報(81), 61-79(1993)でトマトは非集積型に分類されていた。
ただ、トマトはケイ素が全く要らないのか?と言えば、ケイ素が全く無いと新葉に奇形が見られるようになるので、微量程度は必要としている。
※トマトの低ケイ素蓄積機構の解明 - 岡山大学 資源植物科学研究所岡山大学 資源植物科学研究所によると、トマトではケイ素輸送体の一部が欠損しているため、株内でケイ素をうまく運搬できないようだ。
トマトではレタスと同じように葉内のマンガンの分布の局所的な集中を避けているのか?
単純に葉の形の一部に組み込まれているのか?
ここらへんは分からないけれども、ケイ素がトマトの生産性を高める事は確かであるようだ。
トマトでは前者のマンガンの分布を均等化の方であれば、光合成のばらつきが減ることで、葉の裏の気孔から二酸化炭素の吸収や蒸散にも何らかの影響を与えるので、ケイ素が蒸散に対して何らかの影響を与える事は間違いなさそうだ。