前回のそこにハコベが現れたの記事以降、栽培しやすい土に近づくにつれて、ナズナ、ハコベやホトケノザが増える理由について考え続けている。
ナズナやハコベやこれといって強い草というわけではない。
こんな表現をすると強さとは何か?という難題にぶつかり、絶滅した生物はすべて弱かった。適応こそが強さの証ということで、増殖の速い生物こそが強いということになる。
その意味では、ハコベやナズナの生活環は短いので強い草だと言える。
これから始める話の前に冒頭で挙げた草のナズナ(薺)、ハコベ(繁縷)やシロザ(?)が昔から日本にいた草であるということを触れておいた上で、今回の話を始める。
※シロザも古い時代に日本に帰化した草
※上の写真のホトケノザは古くから日本にいたかは不明
ハコベの強さはアレロパシーにあるのかな?と予想を付けて、Googleで検索をしてみたところ、アレロパシーとはあまり関係ないところで興味深い記事と出会った。
藤井 義晴 農業における新たな生物資源の利用とリスク管理 - 第33回農業環境シンポジウム 農業からみた生物多様性、生物多様性からみた農業 - 農研機構というシンポジウムの資料で、講演者はアレロパシーの研究で有名な方だ。
上記のスライドの最後の方で引用していた研究報告で、外来植物の侵入は土壌pHと有効態リン酸に関連しているというものを紹介していて、ここに重大なヒントが記載されていた。要約を抜粋すると
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北関東の農地周辺の草本植物群落では、表層土壌のpHが高い場所や有効態リン酸の高い土壌で外来植物の侵入が頻発しています。調査地周辺の農地ではリン酸の蓄積や土壌pHの上昇が進行しており、これが農地周辺や耕作放棄地での外来植物の蔓延を助長していると考えられます。
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外来植物の侵入は土壌pHと有効態リン酸に関連している:(農業環境技術研究所)
これは拡大解釈になるが、どうやら日本に古くからいる草たちは日本特有の弱酸性土壌に馴染んだ草達で、大陸の高pHの土の草とは好む環境が異なっていそうだ。
土壌pHと有機態リン酸といえば、慣行的な栽培で石灰で土壌の化学性の調整と家畜糞で土作りによって行き着く末路のようなもので、この手の畑からはほぼ良いものは収穫できない。
上記のような栽培しにくいところでは在来の植物は繁茂できない。
逆をいえば在来の植物があまりいないようなところではまともな野菜は収穫出来ないことになる。
栽培技術が高い方が言っていた土作りの行き着く先がナズナやハコベばかり生えるようになるという話は理にかなっていた可能性が非常に高い事になる。
※注 上記で紹介した研究報告では在来植物はナズナやハコベではなかったので、可能性の域からは抜けきれてはいない
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