安江多輔編著 レンゲ全書 来歴・性状・栽培・利用文化 農文協を読んでいて、ふと目についたところがあったので紹介する。
レンゲは水田の裏作(稲作をしていない時期、晩秋から冬期を経て初春を指す)に栽培する。
それは詰まるところ水田特有の粘土質の土壌でありながら、レンゲと共生をする根粒菌は適度な乾燥がなければ共生がうまくいかないそうだ。
水田は水持ちをよくするように改良を加えられた土壌であるため、乾燥というものが難しい。
レンゲ自体はマメ科で深根性であり、水を多く欲するという特徴がある。
これらの条件を同時に満たす為には、レンゲの播種を行う前に廃菌床のような土に馴染みやすい有機質資材を投与すれば良い。
実際にレンゲの播種の前に植物性の有機物の投与が推奨されていた。
レンゲと根粒菌の共生に関して、土壌のpHのことも触れられていた。
土壌のpHが低い(5以下)場合、根粒菌との共生がうまくいかないらしい。
この対策として植物性の有機物の投与と合わせて石灰の施肥も推奨されていた。
現在の傾向として、石灰過剰になりやすいので、植物性有機物による緩衝性の獲得のみを狙って、石灰は控えるべきだろう。
とりあえず、レンゲに限らず、マメ科緑肥を活用する際は、土壌のpHは意識した方が良いだろう。
そうなると、緑肥は栽培・収穫後にそのまま播種する傾向があるけれども、やはり次作の前倒しで土壌改良材は投入しておいた方が良い事になる。
レンゲ全書は私が大学に入学する遥か前に出版された本にも関わらず、緑肥の活用の前に土壌改良材を投与が既に書かれているにも関わらず、それが広く認知されていない事を見ると、色々と悲しいものがあるなと。