天然の硫酸苦土肥料を基肥で使用しているケースを良く見かける。
硫酸と繋がった苦土(マグネシウム)の肥料でマグネシウムは光合成(生産性)に関与した要素ではやくに成果が出るので使用量が増えているように思える。
塩(えん)の肥料を使用する時は肥効よりも残留性に意識しないと後々面倒なことになるわけで、
天然とはいえ硫酸苦土肥料を基肥で使用する場合、残留する硫酸根(硫酸イオン)の影響は見ておいた方が絶対に良い。
硫酸苦土は強酸と強塩基の塩ではあるが、生理的酸性肥料として扱われているので、元肥で使用すると若干ながらpHを下げるとされる。
硫酸塩の肥料を使用した際に土壌に残る硫酸根だけれども、SO42-と表記され、硫黄(イオウ:S)を含んでいる。
植物体では含硫アミノ酸であるメチオニンやシステインに硫黄が含まれていて、これらが超重要な働きをする。
超重要な働きは
・ジスルフィド結合(人体であれば髪や爪で重要な結合)
・電子の回収屋のグルタチオン
・物質にメチル基(-CH3)をつけて働きを変えるメチル化に関与する酵素の補酵素のS-アデノシルメチオニン(SAM)
By Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
硫黄は重要故、下記のような記述を見かける。
/********************************************************/
硫黄は生体にとっては貴重な元素であり無駄にできないので、SAMを再生する経路がある。
/********************************************************/
※羊土社 基礎から学ぶ植物代謝生化学 179ページより引用
硫黄は重要であり再利用する方向に発達したのだろうけれども、根から積極的に硫酸根を吸収するようには発達しなかったらしく、硫酸根は植物に吸収されずに土壌に残留しやすくなっている。
溶けやすく残留しやすいということは、土壌のECを高める要素となり、水はけが悪い土壌では様々な悪影響を与える。
溜まりやすい成分であれば緑肥に吸収させたいけれども、そもそも硫酸根は植物が吸収しにくい要素なので、硫酸根の残留問題は根強く土壌に残りそうだ。
-続く-
関連記事