サンショウの実の香りの記事に引き続き、サンショウの香りについてを追ってみる。
今回は木の芽(サンショウの若い葉)について見ていくことにしよう。
木の芽は香料として汁物に添えたりするけれども、添える前に葉を叩くことで香りが増すと言われている。
葉内に蓄積した香り化合物が、叩くことで何処かに穴が空き、香りが外に出るようになったのだろう。
これは痛みは青葉の香りにのせて隣株に伝えるの記事で記載した食害性昆虫からの被害を軽減するための防衛の手段と同じであるはず。
ただ、サンショウの若い葉の香りは緑の香りの青葉アルコールの青臭さではないので、他の成分も含まれているに違いない。
というわけで検索をしてみたところ、吉田宗弘著 日本特産䛾香辛料である山椒 - 関西大学化学生命工学部食品化学・栄養化学(旧食品工学)研究室に辿り着いた。
若い葉には青葉アルコール周辺の緑の香りはもちろんのこと、他にリナロール、シトロネロール、2-トリデカノン、ゲラニオールが含まれているとのこと。
緑の香りの他の化合物がどういうものか気になるので更に検索をしてみた。
Calvero - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, リンクによる
これはリナロールという香りのモノテルペンアルコールで、ビタミンAやビタミンEの合成中間体であるらしい。
ビタミンAはβ-カロテンことカロテノイドから合成されるということは有名で、
Calvero. - Selfmade with ChemDraw., パブリック・ドメイン, リンクによる
ビタミンEの一種のトコトリエノール(抗酸化作用が強い方)も右側にカロテノイドのような構造を持っている。
これらの内容からわかったこととして、成長に必要なビタミンの材料が植物の香り化合物であり、人はその化合物を良い香りと感じるということだ。
リナロールから香料というものの理解が少し進んだような気がする。
他の化合物も見ていたら、もっと理解が進むかもしれないな。
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