前回の冬期灌水有機栽培水田でトビイロウンカの被害が増えた報告から得られることの記事で、冬期灌水といった環境保全型の稲作であっても、環境条件によって急速に肥料成分が効くような状態になってしまうと、昆虫による食害被害が極端に増加するということがわかった。


農薬で被害を抑えようにも、厄介な昆虫はすでに抵抗性を持っているわけで、農薬で抑えようとすればする程、農薬の使用量が増えるのに対して、天敵にも影響を与えるので被害は増加し続ける。


「○○の時期には△△の農薬を撒きましょう」という慣習的な栽培によって、なんかわからないが年々栽培しにくくなっているという状態を生み出しているのだろう。


今知るべきことは作物の持つ抵抗性と天敵の事で、前者は今まで何度か触れてきた。

イネのウンカ類への抵抗性


今回は後者の天敵について見ることにする。




水田と天敵で検索してみたところ、静岡県のサイトで、研究成果 環境保全型水田の生き物の実態1 水稲害虫の天敵(クモ類)はどんな水田に多いの?という読み物に辿り着いた。


パンダ王子さんによる写真ACからの写真


この読み物で挙げていた重要な天敵はクモ類のコモリグモ科とアシナガグモ科のクモだった。


調査内容は通常区、除草剤の代わりに米ぬかを使用区(米ぬか区と略す)とレンゲ米栽培区(レンゲ区と略す)の三区で、各々で上記のクモの個体数を集計した。

米ぬか区の栽培方法は下記の報告が参考になる。

機械除草と米ぬか散布等を組み合わせた水稲有機栽培体系の抑草効果と収量性 - 中央農研研究報告 24:55 - 69(2015)


結果はコモリグモ科は米ぬか区で多く、アシナガグモはレンゲ区で多かった。

通常区はどちらのクモも多くならなかった。


米ぬかは亜鉛が多い有機質肥料なので、積極的に利用したい肥料ではあるが、何かと課題が多い。

亜鉛欠乏と植物のオートファジー



田植え前のレンゲ栽培時に土作りをしたら、天敵の個体数に良い影響はあるだろうか?と想像が膨らむ。

レンゲ米の質を向上させることはできるか?


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