今まで持っている知見を合わせて、稲作の前のレンゲ栽培で土作りの効果が最大になるようにレンゲを育てたところ、レンゲ鋤込み後のイネの生育で、例年と同じ施肥量にも関わらず、肥料がよく効いているように見えるようになった。
おそらく、レンゲが生合成した有機物量が例年よりも多い状態になったことが要因だろう。
成長が旺盛になったことで、田の茂り方で懸念が生じ、成長を抑える為の中干しが必要なのでは?という質問が挙がった。
ここは非常に悩ましいところで、中干しを行うと高温ストレスに対する耐性が下がることと、収穫前に訪れるウンカの天敵の個体数が減る可能性があるため、中干しは極力やりたくない。
ここで気になったのだけれども、中干しによる成長の抑制は本当に必要なのだろうか?ということ。
無効分げつがあったとして、出穂から登熟にかけて、無効分げつに無駄な養分を転流させたくないという気持ちはわかるが、中干しによって土の劣化(酸化)を早め、高温ストレスを与えることで、後のウンカへの農薬の散布量を増やすことは良いことなのだろうか?
農薬は工場での合成から、販売店や農家への配送、農家が実際に散布するまでの間に燃料を使い、それがほぼ効果がないときた。
話題に挙がっている田では、施肥量は例年と同じ(実際にはレンゲ栽培で土壌改良材を利用している)だけれども、成長は旺盛になっている。
更に言うと、冬季に他の田では乾土効果を狙っているか知らないが、頻繁に耕起しているところと、土をレンゲで覆い尽くして、しかも土壌改良材の影響により光合成産物が増えていて、そのほとんどを田に鋤き込んだ。
話は変わって、先日、稲作でカリウムの施肥を減らして、二酸化炭素の排出量の削減に貢献の記事で、稲作において、カリウムの施肥量を減らすと、収穫後の土壌で有機物の蓄積量が増したという研究報告があることを紹介した。
この研究報告では、水田において有機物の蓄積を増加させることで、新たな温暖化対策の開発へ繋がると記載していたので、今後は稲作で肥料分ギリギリで良いものを収穫するよりも、
成長は旺盛になっても、収穫後に稲わらとして鋤き込み、年々有機物量を増加させて、田に埋没炭素量を増やし、地域での二酸化炭素排出量の削減を目指す栽培にシフトしていく可能性は高い。
話題に挙がっている田では、例年と施肥量は同じでも成長はより旺盛になっているので、来年以降は徐々に基肥の施肥量を減らす必要が出てくる。
基肥の製造から使用までも農薬同様、それなりに燃料を使っているわけで、埋没炭素量を増やしつつ、二酸化炭素の排出量の削減も貢献出来る。
全国で土作りを意識したレンゲやベッチの栽培が広がれば、昨今の水害に対して、何らかの貢献が出来るのではないだろうか?
最後にレンゲ栽培で注意するべき内容の記事を挙げておく。
開花させることが前提のレンゲを栽培する時に注意すべきこと再び
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