秋の荒起こしから秀品率の向上のポイントを探るの続きの記事で、稲作の収穫後の荒起こしの仕方で翌年の稲作の秀品率が変わるのでは?という着眼点で、荒起こしで土がどのように変化するか?を整理してみた。
荒起こしでは、肥料の効きが増す分、土壌の劣化をはやめ、保肥力が下がるのでは?という予想となった。
※家畜糞を投入して、硫化水素ガスの発生源を増やすという論外なこともある。
これらの内容を踏まえた上で、どうしても書いておきたいことがある。
昨年の高槻の原生協コミュニティルームでレンゲ米栽培の観測の報告会を行いましたの投稿以降で、稲作に助言をする立場の方が観測していたレンゲ米栽培からヒントを得たいと意見を求めてきた時に放った言葉で、「稲作に土作りは不要だと思っていました」というものがあった。
どうやらこの方は、今まで数多くのベテラン農家に出会ってきたらしいが、誰一人として稲作で土作りの話題を聞くことがなかったそうだ。
この展開には正直驚いた。
水田といえど、イネの根は土に接触するわけで、土の化学的な影響は大きく受けるのは自明。
たとえば、保肥力をみても、与えた肥料の効きに大きく左右するので、土作りの大事さはわかる。
稲作は代表的な作物なので、安定収入を目的として工業的なマニュアル栽培に仕立て上げる為に躍起になったという歴史でもあるのか?
他の作物での当たり前が、稲作では当たり前でなくなるようだ。
稲作で慣習的に行われている中干しに対して、これを畑作に置き換えると劣化した土壌で生じるクラストだけれども、クラストが発生するような土壌で栽培したいか?と尋ねると、ひび割れするような弾力のない土は物理性が低く、土に酸素が行き渡らないので嫌だと返答があった。
だけれども、稲作では嬉々として乾燥するとヒビ割れをするような土壌の物理性が低い土壌で栽培をしたがる。
物理性が低い土壌では有害なガスも発生しやすく、発根量も減ってしまう。
発根量が減れば、いもち病やウンカに対する抵抗性が減るので、収量が低下しつつ農薬の使用量が増えて利益率が減ってしまうだろう。
巷でよく言われる感と経験は向上の思考を鈍らし、本来であれば罹らない病気であっても、自身の感を疑わずに打つ手なしと農薬に頼る。
感と経験が役に立つのは小手先に改善のみで、大きな改善には太刀打ちできなくなるので、感と経験を称賛した世間が秀品率の向上を妨げる要因のように感じる。
日本国内で感と経験から脱した(比較的)安全で美味しい諸外国からの輸入の作物だらけになるのも時間の問題のように感じる。
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