とある地域にて、稲作でごま葉枯病が蔓延していて困っているという相談を受けた。

ごま葉枯病というのは、


※写真 水稲病害判定シート|滋賀県ホームページより引用


葉の表面にゴマ粒みたいな模様が付いた症状で、収量に大きな影響を与える。

ごま葉枯病はCochliobolus miyabeanusと呼ばれる糸状菌に感染することで発症する。

Cochliobolus miyabeanus (日本産糸状菌類図鑑) - 農研機構

土壌中の糸状菌が植物に対して病原菌となるか共生菌となるか?は施肥次第


ごま葉枯病 対策情報 - 開発肥料株式会社のPDFに拠ると、ごま葉枯病はカリ、ケイ酸、苦土(マグネシウム)や鉄が欠乏すると多発し、カリ欠乏状態では病斑が増加するとのことだそうだ。

合わせて同じ場所で毎年発生する傾向があるという記述も添えられていた。


これはどこからどう見ても田の土壌の劣化が原因ではないか!

稲作では土作りの習慣が無いため、一度症状に陥ると慣行だけで解決に至ることはほぼない。

※カリ不足はカリ以外の鉱物由来の金属系の要素も合わせて欠乏する

昨今の肥料不足に関して改善する余地は大きい


カリが欠乏すれば根の吸水力と養分吸収が落ち、耐性に関与する各種金属要素の吸収が落ち、株が弱体化する。

亜鉛欠乏と植物のオートファジー


鉄欠乏はおそらく土の物理性を改善していない → 栽培中に無酸素状態になりやすい → イネの発根が落ちる → 硫酸塩系の肥料がガス化(硫化水素)する → 硫化鉄になり無効化する(or 根腐れ)といった流れだろう。

植物の根への酸素の運搬とROLバリア

鉱物は栽培上の問題の解決案を教えてくれる


今回の相談で興味深い内容があったのだけれども、施肥量を少なめにした田では比較的よく穫れたらしいが、それはおそらく硫酸塩系の肥料の施肥量が少なく、硫化水素の発生量が少なかったからだろう。

化学肥料を使うと土が壊れるということはどういうことかを考える


問題の解決は慣行をやめ、土の物理性の向上に重きを向けることだろう。

おそらく欠乏症の穴埋めのような肥料を使っても駄目だし、この地域の米作り名人の感と経験による栽培ノウハウは役に立たない。

稲作に秘められた大きな可能性


追記

家畜糞を嫌気環境下に置くと硫化水素が発生するので注意が必要


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