今回は米ぬか嫌気ボカシ肥作りのメイラード反応の続き。
米ぬか嫌気ボカシ肥の発酵(熟成)が進むと、冒頭の写真のように褐色化していく。
これはメイラード反応と呼ばれる反応に因るもので、米ぬかに含まれるデンプンとタンパクが嫌気発酵によりブドウ糖(グルコース)とアミノ酸になり、この2つの化合物が結合する。
実際に起こり得る反応は、
グルコースの1番目のアルデヒド基(-CHO)と
アミノ酸のアミノ基(-NH2)が自然環境下で反応し、
※図:村田容常著 メイラード反応と着色・褐変 糖とアミノ酸が反応すると茶色くなる化学 - 化学と生物 Vol. 57, No. 4, 2019 215ページ 図1の図を改変して引用
シッフ塩基になる。
※上の図でR-NH2がアミノ酸を指し、アルデヒド基(-CHO)とアミノ基(-NH2)の箇所の反応は、
R'-CHO + R-NH2 → R'-(CH)=N-R + H2O
となり、脱水縮合で糖とアミノ酸が結合している。
※図:村田容常著 メイラード反応と着色・褐変 糖とアミノ酸が反応すると茶色くなる化学 - 化学と生物 Vol. 57, No. 4, 2019 215ページ 図1の図を改変して引用
シッフ塩基はアマドリ転移(アマドリ転位)という反応を経て、アマドリ化合物となる。
アマドリ化合物が脱水、分解や縮合等の反応を経て、カルボニル化合物になり、更にアミノ酸等が反応して、褐色のメラノイジンになる。
中間生成物であるカルボニル化合物の例として、グルコースとシステインで、
※図:村田容常著 メイラード反応と着色・褐変 糖とアミノ酸が反応すると茶色くなる化学 - 化学と生物 Vol. 57, No. 4, 2019 218ページ 図7の図を改変して引用
ピロロチアゾレートといった化合物がある。
この反応は腐植酸の形成でも重要であるそうで、おそらく腐植酸の形成をもっと細かく理解したい2で触れたような内容に繋がっていくのだろう。