腐植酸の形成をもっと細かく理解したい1でポリフェノールからキノンへの酸化から、


quinone4a

※ 上記の電子の動きは自信がない


quinone5b


求電子剤としてのキノンについてを見てきた。


求電子剤は求核剤(上の図ではNuを指す)と呼ばれる化合物があると特定の条件下において求核付加反応等が生じる。


土壌中にある化合物で求核剤がどれに当たるか?

その求核剤の付加反応の条件は何か?

について把握していけば、おそらくそれが腐植酸の理解へと繋がっていくはずだ。


というわけで、土壌中に存在する可能性が高い求核剤について見ていくことにする。




本でよく見かける求核剤として、


L-Cystein_-_L-Cysteine


含硫アミノ酸のシステイン(cysteine : Cys)がある。

※ 含硫の硫はS(硫黄:イオウ)のこと

システイン - Wikipedia


システインにあるチオール基(-SH)には電子を他の化合物に与えたいという求核剤としての特徴がある。


システインが求核剤としてキノンに反応すると、


cysteine_added_to_polyphenol

※図:本田沙理等 ポリフェノール,化学反応を基盤とする機能性物質 抗酸化反応から成分間反応まで - 化学と生物 Vol. 53, No. 7, 2015 446ページの図7を改変して引用


のような反応になる。


この反応から、システインを含むペプチドもキノンに付加する可能性が見えてきて、ポリフェノールが周辺の有機物と反応して、より大きな化合物に変化していくイメージがしやすくなった。

※ ペプチド : ペプチドとは? ペプチドは、アミノ酸が数個から数十個つながってできた分子の総称


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