前回のレンゲ米の水田からイネの生長を考えるの続き
レンゲを育てて鋤き込んだ後に田植えをした水田では、レンゲ鋤き込み以外の条件が似たような水田と比較して、葉色が薄く葉の茂りが少ない傾向(あくまで主観)があることを記載した。
この状態が良いのか悪いのかを判断するのは難しいけれども、欠乏症が出ているというわけではないので良い事であると予想している。
前回の記事では植物の反応として、水溶性の窒素化合物と発根についてを見た。
イネの栽培指導でよく言われている内容として、葉色が濃いとイネの病気で最も怖いと言われるいもち病に罹りやすいと言われている。
いもち病は漢字で稲熱病と記載することからわかる通り、稲が火傷をしたように見える症状になり、梅雨のような低温多湿で多発すると言われている。
いもち病はイネいもち病菌というカビに感染されることによって発病する。
※※図:朝倉書店 新版農薬の科学 102ページより引用
感染の仕組みは葉等のイネ表面に付着したカビが付着器というところでメラニンを溜め込むことで、器官の内側の気圧を高め、侵入菌糸を押し込む。
それ故、いもち病用の殺菌剤はメラニンの合成の阻害を作用機構に持つものが多い。
余談だけれども、いもち病菌のメラニン合成は動物のL-ドパ経由とは異なり、アセチルCoA経由となる。
こちら営農・指導センター 農薬研究室 いもち病防除剤をめぐる話題 - グリーンレポートNo.403(2003.6.15号)
ここまでの内容を整理して、疑問に思うことがある。
いもち病菌は物理的な力で感染するのに、なぜ葉の色が濃い株で感染しやすいのか?
葉の色が濃いというのは、葉の表面が柔らかい状態なのか?
葉が濃くなるのは一体何なのか?を知ることで、いもち病等の物理的に植物体内に侵入することで発病する病気の予防に繋がるのではないか?
イネが適切にシリカを吸収して活用すると、いもち病に罹りにくくなるかもね。