前回のテロワールとミネラル感の記事でワインの品質の地域性について触れた。
テロワールとミネラル感は抽象度合いが高くて難しい概念であって賛否両論がある。
ミネラル感についても同様だ。
そんな中で、
河出書房新社から出版されている新しいワインの科学という本にテロワールに関して興味深い文面があった。
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典型的な丘の斜面を見ると、その土壌は上から順に、硬い石灰岩、柔らかい石灰岩、粘土の混じった石灰岩、粘土となります。同じ斜面のブドウからできたワインを比べてみると、上のほうのあまり粘土のない石灰岩からのワインはタンニンがとても強く、力強さがありますが、こくやまろやかさに欠けます。ところが、斜面を下がって、石灰岩と粘土の混じり合ったところのワインを味わうと、深みとこくがあるうえにストラクチャーもしっかりしています。一番下の粘土質からはいい意味で濃厚なワインができますが、熟成があまりうまくいきません。
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※河出書房新社 新しいワインの科学の71ページより抜粋
驚くべきことに上記の引用した文面より前にモンモリロナイトやカオリナイト、花崗岩や石灰岩による品質の違いについても触れていた。
タンニンは渋味の要素で、多すぎると不快感が増すらしいが、少なすぎると寂しいといったワインの品質を決める要因だ。
これが粘土鉱物を中心にして語られているのが面白い。
粘土質からのワインで熟成があまりうまくいかないのは、タンニンが弱いからなのだろうか?と想像が弾む。
タンニンが多いとおそらく旨味成分が少ないだろうなと。
こくとまろやかさについては私の知識や経験の中で何の成分がそれらに当たるのか?の引き出しがないので何も思いつかない。
味覚について知れば、テロワールから得られることが増えるのかも知れないと新たな課題が出来た。
少し前にテロワールに賛否両論あると記載したけれども、
この話を読んだ時に真先に、
長野県栄村小滝集落で出会った米が頭に浮かんだ。
美味しい米は水質だというけれども、
元を辿れば山の土を経由して湧き出た水で、
この水こそが米のテロワールに当たるものなのだろう。