吉野精一著 BLUE BACKS パンの科学 しあわせな香りと食感の秘密に興味深い記述がたくさんある。
興味深い記述はたくさんあるのだが、そのうちの一つにパン生地の中に脱脂粉乳を加えるというもの。
脱脂粉乳というのは牛乳から乳脂肪を除いたもので、糖分(特に乳糖)と乳タンパク質が豊富に含まれている。
脱脂粉乳は豊富な栄養価だけでなく、日本において外貨を稼ぐ重要な産業でもある。
話が少し脱線したので戻すと、
この脱脂粉乳がパンの表面であるクラストカラーの改善に関与するそうだ。
クラストの褐色は糖とアミノ酸によるメイラード反応と糖単体のキャラメル反応に依るものとなる。
通常パンではメイラード反応が発生するのが130〜160℃であるが、脱脂粉乳に含まれる乳糖と乳タンパクによるメイラード反応は100℃という比較的低温度帯で生じる。キャラメル反応も同様。
糖の種類によって低温帯でメイラード反応が下がるという知見を得た。
何故メイラード反応に注目しているのか?というと、
Wikipediaのメイラード反応のページに
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落ち葉から腐葉土が出来る過程でも褐色色素や黒色色素が生じる。これは腐植酸と呼ばれる物質だが、メラノイジンと同じものである。植物の持つ酵素的な褐色色素の形成と、非酵素的なメイラード反応の両方が関与していると言われている。
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※メイラード反応#メイラード反応の例 - Wikipediaから抜粋
と記載されている。
酵素的な褐色色素の形成というのは紅茶の製造は酵素的褐変を活用するで触れたPPOのことで、腐植酸の合成にはPPOの働き以外にメイラード反応がある。
メイラード反応は高温時に反応が進むけれども、糖やタンパクの種類によってメイラード反応の温度帯が異なるというのはパンだけではなく、堆肥においても重要な知見となるはずだ。
今回の内容を見た時に頭に浮かんだことがあるけれども、それは次の記事で
-続く-