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石灰岩の成り立ちから石灰性暗赤色土を考えるの記事の最後で石灰岩自体、もしくは付近には玄武岩質のものが多いのではないか?という話題から、石灰性暗赤色土は玄武岩質のものの影響で赤土粘土になったのだろうという話題で〆た。


今まで訪れた場所で観察したものを思い返すと、上記のような話にしてしまっても良いのだろうか?

というわけで粘土鉱物について今まで以上に細かく見る事にする。




粘土鉱物とは何なのだろう?の記事に粘土鉱物の定義に触れているのでこの内容を前提として話を進める。


今まで栽培において秀品率を劇的に向上させた粘土鉱物は主に


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暗赤色土周辺の地域資源を活用する


粘性の低い火山岩がある地域周辺で見かける赤い粘土と、


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肥料として購入できる白っぽい粘土鉱物だろうか。


どちらも微粒で層状の珪酸塩鉱物で構成されているものであるから、見ているものは大差ないが、形成される場所が異なる。

というわけでどういう作用で粘土鉱物が形成されるかを見ることにする。

粘土鉱物の構造




これからの内容は、


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朝倉書店 白水晴雄著 粘土鉱物学 -粘土科学の基礎- 新装版の内容を参考にして記載


粘土鉱物は何らかの鉱物が風化されることによって生成される。

石が削られて細かくなっていったものが粘土というイメージで良いだろう。


風化には主に単純に削るといった作用の物理的風化と、酸等によって形を変える化学的風化がある。

物理的風化は酸素に触れたり、気温の変化によって水が凍るのと溶けるのを繰り返しといったものや、植物の根が物理的に壊してくることを指す。

化学的風化は水や雨に含まれる炭酸等の反応によって鉱物の形を変えることを指す。


例えば、カリ長石がカオリン鉱物(粘土鉱物)に変わる過程を書くと、

・カリ長石 + 炭酸 + 水 → カオリン鉱物 + 炭酸カリウム + 二酸化ケイ素

・カリ長石 + 水 → カオリン鉱物 + 水酸化カリウム + 二酸化ケイ素


物理的な作用と化学的な作用が合わさって、とある鉱物が粘土鉱物へを変化していく。

熱水に触れる事によっても粘土鉱物へと変わっていく。水による作用の反応性が増すからだろう。




岩を構成する各鉱物で風化のしやすさ(風化しにくいことを抵抗性とする)があり、

有色鉱物であれば、かんらん石 > 輝石 > 角閃石 > 黒雲母になっている。

無色鉱物であれば、灰長石 > 曹長石 > カリ長石 > 白雲母 > 石英となっている。

※左のもの程風化しやすい。


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(株式会社誠文堂新光社 日本の石ころ標本箱 201ページの図を参考にして作成)


上の図に当てはめると、

火山岩であれば塩基性の強いもの程風化しやすいことになる。




更にもう一つ挙げたいことがあり、

高温で生成する鉱物ほど地表環境では不安定であって、マグマから早期に晶出する鉱物ほど抵抗力は小さいとされる。


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風化した斑れい岩を観察する前に斑れい岩について整理しようの記事で塩基性岩である火山岩の玄武岩と深成岩である斑れい岩について触れた時、急速に冷えて固まった火山岩の方に粒の細かい石基が多く含まれるとあったが、この石基は風化しやすい。

珪酸を同じ分だけ含まれていたとしても、深成岩よりも火山岩の方が風化しやすいということになる。


この話題のおかげで風化した斑れい岩の露頭の下に堆積した土の色は何色か?の記事内で抱いた疑問が解消された。


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粘土鉱物が出来る場所