前回話題に挙げたヤシャブシだけれども、調べている時に葉を水田の肥料として利用しているという内容を見かけた。
ヤシャブシは先駆植物として、激しく撹乱された場所にいち早く自生する木として有名。
一昔前の各地で里山が維持されていた頃で撹乱が多い場所といえば、大雨で土砂崩れした、所謂、山が老化している場所に多く生えている可能性が高く、そういう場所はたくさんあったのでは?と想像できる。
山の老化という表現が適切かはわからないけれども、山の老化を言葉で説明してみると、
山にある土の母材である岩石は様々な生物の作用によって風化され土となっていく。
岩が風化すると粒子が細かくなり、降雨で流れやすくなるし、岩自体も小さくなって落石しやすくなる。
降雨による土の流出や落石は当然のことながら、山が低くなる要因であるわけで、繰り返されると山の傾斜はなだらかになり、全体的に低くなっていく。
台風等で土の流出が多いのが土砂崩れになるわけで、跡地は激しい撹乱がされていることになる。
これらの内容からヤシャブシが先駆植物であっても、比較的身近にいることに対して違和感はなくなる。
葉を水田の肥料にするの話に戻って…、と言いつつ、もう少し脱線をする。
冒頭で記載したリンク先に他に記載されている内容として、果実にタンニンが多く含まれているという内容が記載されていた。
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タンニンは苦味や渋みのタンニン等の記事で何度か触れていて、ポリフェノールといったフェノール性化合物が何度か繋がった(重合した)ものを指し、重合度が高い程、人の舌では渋みを感じる。
渋みというのは、栄養となる金属要素がタンニンと結合して無効になりやすく、それを危機的状況だと判断しての味覚で、タンニンは鉄といった金属と繋がりやすい。
※タンニンは酸性というのも金属と繋がりやすいという特徴に繋がる
実にタンニンが多いということは、当然ながら葉でのタンニンの量が多い事が予想される。
そんなタンニンが多く含まれた葉を粘土鉱物が蓄積されやすい水田に肥料として与えたらどうなるか?
アルミニウムの結合力とポリフェノールの吸着性の記事で記載したように、
栽培者にとって良い土というものが比較的はやく形成されることになる。
ヤシャブシから得られた知見で、昔は水田で積極的に土作りが行われていた可能性が高いことがわかった。
であれば、稲作に土作りは不要なのか?の記事で記載した、水田で土作りは不要だと考えられている慣習は一体何なのだろうか?
誰がそんな慣習を作り上げた?
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