チロシンとバイオフェノールまでの記事でフェノールについて見てきた。
チロシンを高生産できる微生物からフェノールを製造するという内容から、もしかして自然界でフェノールを生成する菌(もしくは細菌)がいるのではないか?と思い、調べてみることにした。
検索をしてみたら、片山高嶺 腸内細菌における新規な代謝機能の発見と解析およびその高度利用 - 農芸化学奨励賞(2011)にたどり着いた。
上記のPDFには
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腸内においては、しばしばフェノールの遊離が観察されるが、これに関わる酵素がチロシンフェノールリアーゼ (TPL)である。
本酵素は一部の腸内細菌属に分布しており,チロシンをピルビン酸、アンモニア,およびフェノールへと加水分解する。
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と記載されていた。
上記内容がどんな反応なのだろう?と詳細を調べてみたら、熊谷英彦 l-ドーパ ― 酵素による生産 - 化学と生物 Vol. 50, No. 2, 2012に詳細が記載されていた。
Ben Mills - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
チロシンを加水分解すると、
NEUROtiker - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
フェノール、ピルビン酸(C3H4O3)とアンモニア(NH3)に分解されるそうだ。
明記はされていないが、一連の反応を行う酵素によって、
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L-ドパ(正式名称:L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)という神経伝達物質に関与する物質が合成される。
ヒトの腸内細菌によってチロシンからフェノールが合成されているわけだけれども、もしフェノールとアンモニアまでの生成以降の反応が失速してしまったとすると、腸内で毒性の強い物質が蓄積し続けるのでは?と疑問が生じた。
ちなみに上記の反応を示す細菌(Erwinia herbicola)は腸内細菌科に属する細菌で、この科の細菌は野菜や穀物等のよく付着しているそうだ。
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