ラクトン系香気物質について2までの記事でモモ等の香気物質のラクトン系香気物質について見てきた。
前回までではラクトンの分類について触れたが、次に気になるのはラクトンの合成になるので、今回はそれについて見ていく。
ラクトンの合成(ラクトン化)は脂肪酸のヒドロキシ基(-OH)とカルボキシ基(-COOH)が分子内で脱水縮合して環状エステルになる反応であるそうだ。
いくつか気になる用語があるが、先にエステルについて触れておくと、
緑の香りのエステルはリンゴの香りの記事で触れた酢酸ヘキシルを例にして話をすると、左から二番目の酸素(O)の箇所の-C-O-C-の結合がある化合物をエステルと呼ぶ。
改めてγ-デカラクトンを見てみると、左から二番目の酸素(O)も-C-O-C-のエステル結合があるので、これもエステルと言える。
環状エステルは、左側の酸素(O)を含んだ五角形の箇所が環状になっているので、ラクトンは環状エステルという事になる。
この内容を踏まえた上で、ラクトン化の脂肪酸のヒドロキシ基(-OH)とカルボキシ基(-COOH)が分子内で脱水縮合を考えてみる。
炭素数10の脂肪酸を思い浮かべてみたところ、
デカン酸(カプリン酸)があるが、カルボキシ基(-COOH)はあっても、ヒドロキシ基(-OH)は見当たらないので、単純な構造の脂肪酸からラクトンは合成できないかもしれない。
では、どのような脂肪酸からラクトンは合成されるのか?
話が長くなりそうなので、今回はここまでにしておく。