
腐敗に傾いた米ぬか嫌気ボカシ肥でミョウバンの添加は有効か?の記事に引き続き、米ぬか嫌気ボカシ肥に何らかのものを添加する話を続ける。
メイラード反応が関係しているものにカルシウム等の金属を添加すると、褐色物質の量が増えるということで、ミョウバンを入れるとどうなるか?を考えてきたが、もう一つ気になるものがある。
それは、


使用済みの使い捨てカイロだ。
使い捨てカイロには酸化鉄(Ⅲ)、バーミキュライトと食塩が含まれている。
鉄もメラノイジンとイオン結合かキレート結合をする可能性があり、褐色物質の増加に貢献するはずだ。
酸化鉄(Ⅲ)とメラノイジン等の還元剤がある環境であれば真っ先に思い付くのが鉄の還元だろう。
鉄の還元といえば、鉄還元細菌に因るもので、米ぬか嫌気ボカシ肥作りにもこの細菌がいたとして話を進める。
米ぬか嫌気ボカシ肥作りにおける発酵がうまくいっている場合、米ぬかに含まれる水は酸性に傾いている。
つまりは、プロトン(H+)が多い状態だと言える。
酸化鉄の還元は複雑な反応になるが、簡略化して書くと、
Fe2O3 + 2e- + 2H+ → 2FeO + H2O
のように書ける。
※ 酸化鉄(Ⅲ):Fe2O3 酸化鉄(Ⅱ):FeO
酸化鉄(Ⅱ)になることで、クエン酸等の有機酸の溶液と反応しやすくなり、鉄はイオン化する。
3FeO + 2H3Cit → Fe3(Cit)2 + 3H2O
※ H3Citはクエン酸の略
上記では酸化鉄(Ⅱ)とクエン酸の反応を書いたが、酸化鉄(Ⅱ)とメラノイジンとの反応もおそらくあるはず。
メラノイジンに含まれるレダクトンと酸化鉄(Ⅱ)が反応したら面白い事が起こりそうだけれども、それは次回にする。




